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Category:交通システム
第4世代トレインビジョンの開発

トレインビジョンは、鉄道車両内のドア上やドア横、天井吊りに設置された複数のディスプレイ(以下、メディア表示器)を通して、行先・路線図・駅設備・運行情報などの旅客案内や、広告・ニュース・天気予報などの情報サービスを乗客に提供するシステムである。三菱電機(株)のトレインビジョンは国内シェアNo.1であるが、市場は年々活性化してきており、さらなる競争力強化が必要な状況である。そこで、トレインビジョンの魅力性能向上を目指して、2015年度~2016年度に第4世代トレインビジョンを新規開発した。第4世代トレインビジョンの開発により、今までよりも情報量が多く、かつ、表現力に優れた情報をより早く乗客に提供できるようになった。本稿では、第4世代トレインビジョンの開発について記載する。
参考情報:
第4世代トレインビジョンの開発 1.まえがき トレインビジョンは、鉄道車両内のドア上やドア横、天井吊りに設置された複数のディスプレイ(以下、メディア表示器)を通して、行先・路線図・駅設備・運行情報などの旅客案内や、広告・ニュース・天気予報などの情報サービスを乗客に提供するシステムである。三菱電機㈱のトレインビジョンは国内シェアNo.1であるが、市場は年々活性化してきており、さらなる競争力強化が必要な状況である。そこで、トレインビジョンの魅力性能向上を目指して、2015年度~2016年度に第4世代トレインビジョンを新規開発した。第4世代トレインビジョンの開発により、今までよりも情報量が多く、かつ、表現力に優れた情報をより早く乗客に提供できるようになった。本稿では、第4世代トレインビジョンの開発について記載する。 2.トレインビジョンの概要 トレインビジョンには、旅客案内表示機能と情報サービス表示機能がある。老若男女を問わず、認識しやすい案内を実現するために、ユニバーサルデザインを用いて乗客へのわかりやすさを追求している。図1にトレインビジョンのイメージ図を示す。トレインビジョンの構成を図2に記載する。メディア表示器に表示させる素材(以下、コンテンツ)や運行情報は、無線通信を使用して地上システムから車上システムに配信される。車上システムでは、送受信装置が地上システムから配信されたデータを受け取り、受け取ったデータを、メディア中央装置とメディア端末装置を経由して、メディア表示器に転送する。トレインビジョンで表示する案内は、旅客案内と情報サービスの2つに大別される。(1)旅客案内表示機能旅客案内表示機能は、運用に関する情報を車両情報統合管理装置TCMS(Train Control and MonitoringSystem)から受信し、路線図、乗換案内、駅設備案内などの情報を表示する。また、乗務員操作による緊急案内、急停車時の急停車案内、地上システムから受信した運行情報の案内など、リアルタイム性の高い情報も表示する。(2)情報機能情報サービス表示機能は、広告主から入稿されたコンテンツと放映スケジュールを元にして地上システムで広告表示データを作成し、高速無線伝送を用いて車上システムに配信する。車上システムでは、配信された広告表示データに基づいて表示を行う。また、ニュース、天気予報などのタイムリーな情報も表示する。一般論文第4世代トレインビジョンの開発伊丹事業所 技術第2部 映像情報システム課坂東 秀之1.まえがきトレインビジョンシステム(注1)は、鉄道車両内のドア上やドア横、天井吊りに設置された複数のディスプレイ(以下、メディア表示器)を通して、行先・路線図・駅設備・運行情報などの旅客案内や、広告・ニュース・天気予報などの情報サービスを乗客に提供するシステムである。三菱電機㈱のトレインビジョンシステムは国内シェアNo.1であるが、市場は年々活性化してきており、さらなる競争力強化が必要な状況である。そこで、トレインビジョンシステムの魅力性能向上を目指して、2015年度~2016年度に第4世代トレインビジョンシステムを新規開発した。第4世代トレインビジョンシステムの開発により、今までよりも情報量が多く、かつ、表現力に優れた情報をより早く乗客に提供できるようになった。本稿では、第4世代トレインビジョンシステムの開発について記載する。2.トレインビジョンシステムの概要トレインビジョンシステムには、旅客案内表示機能と情報サービス表示機能がある。老若男女を問わず、認識しやすい案内を実現するために、ユニバーサルデザインを用いて乗客へのわかりやすさを追求している。図 1にトレインビジョンシステムのイメージ図を示す。図 1.トレインビジョン イメージ図トレインビジョンシステムの構成を図 2に記載する。メディア表示器に表示させる素材(以下、コンテンツ)や運行情報は、無線通信を使用して地上システムから車上システムに配信される。車上システムでは、送受信装置が地上システムから配信されたデータを受け取り、受け取ったデータを、メディア中央装置とメディア端末装置を経由して、メディア表示器に転送する。図 2.トレインビジョンシステムの構成トレインビジョンシステムで表示する案内は、旅客案内と情報サービスの2つに大別される。(1) 旅客案内表示機能旅客案内表示機能は、運用に関する情報を車両情報統合管理装置(TCMS)から受信し、路線図、乗換案内、駅設備案内などの情報を表示する。また、乗務員操作による緊急案内、急停車時の急停車案内、地上システムから受信した運行情報の案内など、リアルタイム性の高い情報も表示する。(2) 情報サービス表示機能情報サービス表示機能は、広告主から入稿されたコンテンツと放映スケジュールを元にして地上システムで広告表示データを作成し、高速無線伝送を用いて車上システムに配信する。車上システムでは、配信された広告表示データに基づいて表示を行う。また、ニュース、天気予報などのタイムリーな情報も表示する。第4世代トレインビジョンシステムの開発伊丹事業所 技術第2部 映像情報システム課坂東 秀之(注1) トレインビジョンシステムは三菱電機㈱の登録 (注2) TCMS は三菱電機㈱の登録商標である。商標である。1.まえがきトレインビジョンシステム(注1)は、鉄道車両内のドア上やドア横、天井吊りに設置された複数のディスプレイ(以下、メディア表示器)を通して、行先・路線図・駅設備・運行情報などの旅客案内や、広告・ニュース・天気予報などの情報サービスを乗客に提供するシステムである。三菱電機㈱のトレインビジョンシステムは国内シェアNo.1であるが、市場は年々活性化してきており、さらなる競争力強化が必要な状況である。そこで、トレインビジョンシステムの魅力性能向上を目指して、2015年度~2016年度に第4世代トレインビジョンシステムを新規開発した。第4世代トレインビジョンシステムの開発により、今までよりも情報量が多く、かつ、表現力に優れた情報をより早く乗客に提供できるようになった。本稿では、第4世代トレインビジョンシステムの開発について記載する。2.トレインビジョンシステムの概要トレインビジョンシステムには、旅客案内表示機能と情報サービス表示機能がある。老若男女を問わず、認識しやすい案内を実現するために、ユニバーサルデザインを用いて乗客へのわかりやすさを追求している。図 1にトレインビジョンシステムのイメージ図を示す。図 1.トレインビジョン イメージ図トレインビジョンシステムの構成を図 2に記載する。メディア表示器に表示させる素材(以下、コンテンツ)や運行情報は、無線通信を使用して地上システムから車上システムに配信される。車上システムでは、送受信装置が地上システムから配信されたデータを受け取り、受け取ったデータを、メディア中央装置とメディア端末装置を経由して、メディア表示器に転送する。図 2.トレインビジョンシステムの構成トレインビジョンシステムで表示する案内は、旅客案内と情報サービスの2つに大別される。(1) 旅客案内表示機能旅客案内表示機能は、運用に関する情報を車両情報統合管理装置(TCMS)から受信し、路線図、乗換案内、駅設備案内などの情報を表示する。また、乗務員操作による緊急案内、急停車時の急停車案内、地上システムから受信した運行情報の案内など、リアルタイム性の高い情報も表示する。(2) 情報サービス表示機能情報サービス表示機能は、広告主から入稿されたコンテンツと放映スケジュールを元にして地上システムで広告表示データを作成し、高速無線伝送を用いて車上システムに配信する。車上システムでは、配信された広告表示データに基づいて表示を行う。また、ニュース、天気予報などのタイムリーな情報も表示する。第4世代トレインビジョンシステムの開発伊丹事業所 技術第2部 映像情報システム課坂東 秀之(注1) トレインビジョンシステムは三菱電機㈱の登録 (注2) TCMS は三菱電機㈱の登録商標である。商標である。図1.トレインビジョン イメージ図図2.トレインビジョンのシステム構成62第4世代トレインビジョンの開発3.第1~3世代トレインビジョンの課題第1~3世代(以下、旧世代)トレインビジョンには以下の課題があった。3.1 複数情報サービスの同時表示の制約旧世代トレインビジョンの情報サービス表示機能では、ストリーミングによって表示を実現していた。メディア中央装置は、地上システムから受信した広告表示データやニュース・天気予報コンテンツを不揮発媒体に保存し、放映スケジュールに従って、表示するコンテンツをストリーミング配信する。ストリーミングデータはメディア端末装置を経由してメディア表示器に配信される。メディア表示器はストリーミングデータを表示する。ストリーミングのイメージを図3に記載する。ストリーミング配信であるため、編成内の全メディア表示器で同一の表示を行うことは可能であった。しかし、各装置の性能や伝送路の制約等により、同時にストリーミング配信できるコンテンツは最大2種類であった。このため、例えば、女性専用車両と通常車両で異なる広告を表示したり、ドア上のメディア表示器とドア横のメディア表示器で異なる広告を表示するなど、同時に3種類以上の情報サービスを表示することはできない。顧客の多様なニーズに応えるため、複数の情報サービスを同時に表示することが課題であった。3.2 メディア表示器間の表示ずれ旅客案内表示機能と情報サービス表示機能では、現在表示している案内の表示を終了させると、次の案内の表示を開始させていた。つまり、表示の切り替えタイミングは前表示の終了タイミングとなる。イメージを図4に記載する。本方式では、表示の切り替えタイミングは各々のメディア表示器に依存することになる。このため、メディア表示器間で微妙な表示ずれが発生した場合、このずれを補正できなかった。特に旅客案内表示機能は、車両内の放送システムや車外のLEDによる案内表示など、他のシステムと連動した表示切り替えも期待されているため、微妙な表示ずれも発生させないことが課題であった。3.3 コンテンツの配信タイミングによる制約旧世代トレインビジョンにおける地上システムと車上システム間の高速無線伝送では、ミリ波(注1)を使用していた。ミリ波通信によって、特定の拠点で大容量のコンテンツを配信することができていた。しかし、ミリ波は短距離通信に適した電波であり、長距離通信には不向きな電波であるため、広域無線伝送では使用できない。昨今は、鉄道各社間の相互乗り入れ等により列車の運用範囲が拡大しているため、列車の運用状況によっては、ミリ波通信拠点を数日間走行しないことがある。この場合、車上システムの情報が数日間更新されないことになるため、古い情報を表示してしまうおそれがある。また、動画コンテンツの高画質化や画面サイズ拡大により、配信するデータの容量は増加傾向にある。これらの動向を踏まえて、今後は広域通信が可能である無線通信網WiMAX(Worldwide Interoperability forMicrowave Access)(注2)などを採用して大容量コンテンツ配信を実現する必要がある。しかし、一般的に、広域無線の通信速度はミリ波より劣る。このため、コンテンツ配信の実効速度の向上が課題であった。3.第1~3世代トレインビジョンシステムの課題第1~3世代(以下、旧世代)トレインビジョンシステムには以下の課題があった。3.1 複数情報サービスの同時表示の制約旧世代トレインビジョンシステムの情報サービス表示機能では、ストリーミングによって表示を実現していた。メディア中央装置は、地上システムから受信した広告表示データやニュース・天気予報コンテンツを不揮発媒体に保存し、放映スケジュールに従って、表示するコンテンツをストリーミング配信する。ストリーミングデータはメディア端末装置を経由してメディア表示器に配信される。メディア表示器はストリーミングデータを表示する。イメージを図 3に記載する。図 3.ストリーミング イメージ図ストリーミング配信であるため、編成内の全メディア表示器で同一の表示を行うことは可能であった。しかし、各装置の性能や伝送路の制約等により、同時にストリーミング配信できるコンテンツは最大2種類であった。このため、例えば、女性専用車両と通常車両で異なる広告を表示したり、ドア上のメディア表示器とドア横のメディア表示器で異なる広告を表示するなど、同時に3種類以上の情報サービスを表示することはできない。顧客の多様なニーズに応えるため、複数の情報サービスを同時に表示することが課題であった。3.2 メディア表示器間の表示ずれ旅客案内表示機能と情報サービス表示機能では、現在表示している案内の表示を終了させると、次の案内の表示を開始させていた。つまり、表示の切り替えタイミングは前表示の終了タイミングとなる。イメージを図 4に記載する。本方式では、表示の切り替えタイミングは各々のメディア表示器に依存することになる。このため、メディア表示器間で微妙な表示ずれが発生した場合、このずれを補正できなかった。特に旅客案内表示機能は、車両内の放送システムや車外のLEDによる案内表示など、他のシステムと連動した表示切り替えも期待されているため、微妙な表示ずれも発生させないことが課題であった。図 4.表示切り替え イメージ図3.3 コンテンツの配信タイミングによる制約旧世代トレインビジョンシステムにおける地上システムと車上システム間の高速無線伝送では、ミリ波(注3)を使用していた。ミリ波通信によって、特定の拠点で大容量のコンテンツを配信することができていた。しかし、ミリ波は短距離通信に適した電波であり、長距離通信には不向きな電波であるため、広域無線伝送では使用できない。昨今は鉄道各社間の相互乗り入れ等により列車の運用範囲が拡大しているため、列車の運用状況によっては、ミリ波通信拠点を数日間走行しないことがある。この場合、車上システムの情報が数日間更新されないことになるため、古い情報を表示してしまうおそれがある。また、動画コンテンツの高画質化や画面サイズ拡大により、配信するデータの容量は増加傾向にある。これらの動向を踏まえて、今後は広域通信が可能である無線通信網(WiMAX(注4)など)を採用して大容量コンテンツ配信を実現する必要がある。しかし、一般的に、広域無線の通信速度はミリ波より劣る。このため、コンテンツ配信の実効速度の向上が課題であった。(注3)ミリ波は電波の種類である。電波の性質上、短距離の大容量データ通信で使用されることが多い。(注4)Worldwide Interoperability for MicrowaveAccess の略であり、広域無線通信技術の1つである。3.第1~3世代トレインビジョンシステムの課題第1~3世代(以下、旧世代)トレインビジョンシステムには以下の課題があった。3.1 複数情報サービスの同時表示の制約旧世代トレインビジョンシステムの情報サービス表示機能では、ストリーミングによって表示を実現していた。メディア中央装置は、地上システムから受信した広告表示データやニュース・天気予報コンテンツを不揮発媒体に保存し、放映スケジュールに従って、表示するコンテンツをストリーミング配信する。ストリーミングデータはメディア端末装置を経由してメディア表示器に配信される。メディア表示器はストリーミングデータを表示する。イメージを図 3に記載する。図 3.ストリーミング イメージ図ストリーミング配信であるため、編成内の全メディア表示器で同一の表示を行うことは可能であった。しかし、各装置の性能や伝送路の制約等により、同時にストリーミング配信できるコンテンツは最大2種類であった。このため、例えば、女性専用車両と通常車両で異なる広告を表示したり、ドア上のメディア表示器とドア横のメディア表示器で異なる広告を表示するなど、同時に3種類以上の情報サービスを表示することはできない。顧客の多様なニーズに応えるため、複数の情報サービスを同時に表示することが課題であった。3.2 メディア表示器間の表示ずれ旅客案内表示機能と情報サービス表示機能では、現在表示している案内の表示を終了させると、次の案内の表示を開始させていた。つまり、表示の切り替えタイミングは前表示の終了タイミングとなる。イメージを図 4に記載する。本方式では、表示の切り替えタイミングは各々のメディア表示器に依存することになる。このため、メディア表示器間で微妙な表示ずれが発生した場合、このずれを補正できなかった。特に旅客案内表示機能は、車両内の放送システムや車外のLEDによる案内表示など、他のシステムと連動した表示切り替えも期待されているため、微妙な表示ずれも発生させないことが課題であった。図 4.表示切り替え イメージ図3.3 コンテンツの配信タイミングによる制約旧世代トレインビジョンシステムにおける地上システムと車上システム間の高速無線伝送では、ミリ波(注3)を使用していた。ミリ波通信によって、特定の拠点で大容量のコンテンツを配信することができていた。しかし、ミリ波は短距離通信に適した電波であり、長距離通信には不向きな電波であるため、広域無線伝送では使用できない。昨今は鉄道各社間の相互乗り入れ等により列車の運用範囲が拡大しているため、列車の運用状況によっては、ミリ波通信拠点を数日間走行しないことがある。この場合、車上システムの情報が数日間更新されないことになるため、古い情報を表示してしまうおそれがある。また、動画コンテンツの高画質化や画面サイズ拡大により、配信するデータの容量は増加傾向にある。これらの動向を踏まえて、今後は広域通信が可能である無線通信網(WiMAX(注4)など)を採用して大容量コンテンツ配信を実現する必要がある。しかし、一般的に、広域無線の通信速度はミリ波より劣る。このため、コンテンツ配信の実効速度の向上が課題であった。(注3)ミリ波は電波の種類である。電波の性質上、短距離の大容量データ通信で使用されることが多い。(注4)Worldwide Interoperability for MicrowaveAccess の略であり、広域無線通信技術の1つである。図3.ストリーミング イメージ図図4.表示切り替え イメージ図(注1)ミリ波は電波の種類である。電波の性質上、短距離の大容量データ通信で使用されることが多い。(注2)広域無線通信技術の1つである。63第4世代トレインビジョンの開発4.第4世代トレインビジョンの開発旧世代トレインビジョンの課題を解決しつつ、さらなる魅力性能向上を目指して、三菱電機㈱は第4世代トレインビジョンを開発した。当所は本システムのソフトウェア開発を担当した。本章では、第4世代トレインビジョンで新規開発した機能のうち、以下の開発項目について紹介する。(1)2画面一体型メディア表示器の採用(第4世代トレインビジョン新規開発項目)(2)複数情報サービスの同時表示(3.1項の対策)(3)表示の同時切り替え(3.2項の対策)(4)コンテンツ配信性能の向上(3.3項の対策)4.1 2画面一体型メディア表示器の採用各表示機能の情報量向上と表現力向上を目指して、第4世代トレインビジョンでは、2画面一体型メディア表示器を開発した。この表示器は、1つの制御基板で2つの画面を制御するものであり、片側の画面では旅客案内のみを表示し、他方では旅客案内と情報サービスを表示可能とした。本表示器を採用することによって、2画面を使った旅客案内や、旅客案内と情報サービスの同時表示を可能にした。表示例を図5に記載する。2画面一体型メディア表示器では、2画面分の表示領域をまとめて1画面分の表示領域として扱い、部品コンテンツを合成することによって、各種案内を表示させる。図5(1)のケースでは、2画面分の旅客案内部品コンテンツを合成して、案内を表示させる。図5(2)のケースでは、情報サービスを部品コンテンツの1つとして扱い、図5(1)と同様に、部品コンテンツを合成して案内を表示させる。上記のとおりに動作させることにより、ソフトウェアはメディア表示器が2画面であることを意識せずに案内を表示することを可能とした。表示処理では、表示レイヤという概念を導入した。旅客案内と情報サービスの切り替えなど、表示する案内の種類によってレイヤを組み替えることにより、同一画面における旅客案内と情報サービスの切り替えを可能にした。表示レイヤのイメージを図6に記載する。4.2 複数情報サービスの同時表示女性専用車両と通常車両で異なる広告を表示するケースなど、複数の情報サービスを同時に表示することを実現するために、第4世代トレインビジョンでは、ストリーミング配信ではなく、コンテンツと放映スケジュールを全メディア表示器に格納させる方式に変更した。メディア表示器は、自身に格納されたデータに従って表示を行う。コンテンツ表示のイメージを図7に記載する。具体的な実現方法は以下のとおりである。(1)地上システム表示内容をメディア表示器単位、または、あらかじめ4.第4世代トレインビジョンシステムの開発旧世代トレインビジョンシステムの課題を解決しつつ、さらなる魅力性能向上を目指して、三菱電機㈱は第4世代トレインビジョンシステムを開発した。当所は本システムのソフトウェア開発を担当した。本章では、第4世代トレインビジョンシステムで新規開発した機能のうち、以下の開発項目について紹介する。(1) 2画面一体型メディア表示器の採用(第4世代トレインビジョンシステム新規開発項目)(2) 複数情報サービスの同時表示(3.1項の対策)(3) 表示の同時切り替え(3.2項の対策)(4) コンテンツ配信性能の向上(3.3項の対策)4.1 2画面一体型メディア表示器の採用各表示機能の情報量向上と表現力向上を目指して、第4世代トレインビジョンシステムでは2画面一体型メディア表示器を開発した。この表示器は1つの制御基板で2つの画面を制御するものであり、片側の画面では旅客案内のみを表示し、他方では旅客案内と情報サービスを表示可能とした。本表示器を採用することによって、2画面を使った旅客案内や、旅客案内と情報サービスの同時表示を可能にした。表示例を図 5に記載する。図 5.2画面一体型メディア表示器による表示例2画面一体型メディア表示器では、2画面分の表示領域をまとめて1画面分の表示領域として扱い、部品コンテンツを合成することによって、各種案内を表示させる。図 5 (1)のケースでは、2画面分の旅客案内部品コンテンツを合成して、案内を表示させる。図 5 (2)のケースでは、情報サービスを部品コンテンツの1つとして扱い、図5 (1)と同様に、部品コンテンツを合成して案内を表示させる。上記のとおりに動作させることにより、ソフトウェアはメディア表示器が2画面であることを意識せずに案内を表示することを可能とした。表示処理では、表示レイヤという概念を導入した。旅客案内と情報サービスの切り替えなど、表示する案内の種類によってレイヤを組み替えることにより、同一画面における旅客案内と情報サービスの切り替えを可能にした。表示レイヤのイメージを図 6に記載する。図 6.表示レイヤ イメージ図4.2 複数情報サービスの同時表示女性専用車両と通常車両で異なる広告を表示するケースなど、複数の情報サービスを同時に表示することを実現するために、第4世代トレインビジョンシステムでは、ストリーミング配信ではなく、コンテンツと放映スケジュールを全メディア表示器に格納させる方式に変更した。メディア表示器は、自身に格納されたデータに従って表示を行う。イメージを図 7に記載する。図 7.コンテンツ表示 イメージ図具体的な実現方法は以下のとおりである。(1) 地上システム表示内容をメディア表示器単位、または、あらか4.第4世代トレインビジョンシステムの開発旧世代トレインビジョンシステムの課題を解決しつつ、さらなる魅力性能向上を目指して、三菱電機㈱は第4世代トレインビジョンシステムを開発した。当所は本システムのソフトウェア開発を担当した。本章では、第4世代トレインビジョンシステムで新規開発した機能のうち、以下の開発項目について紹介する。(1) 2画面一体型メディア表示器の採用(第4世代トレインビジョンシステム新規開発項目)(2) 複数情報サービスの同時表示(3.1項の対策)(3) 表示の同時切り替え(3.2項の対策)(4) コンテンツ配信性能の向上(3.3項の対策)4.1 2画面一体型メディア表示器の採用各表示機能の情報量向上と表現力向上を目指して、第4世代トレインビジョンシステムでは2画面一体型メディア表示器を開発した。この表示器は1つの制御基板で2つの画面を制御するものであり、片側の画面では旅客案内のみを表示し、他方では旅客案内と情報サービスを表示可能とした。本表示器を採用することによって、2画面を使った旅客案内や、旅客案内と情報サービスの同時表示を可能にした。表示例を図 5に記載する。図 5.2画面一体型メディア表示器による表示例2画面一体型メディア表示器では、2画面分の表示領域をまとめて1画面分の表示領域として扱い、部品コンテンツを合成することによって、各種案内を表示させる。図 5 (1)のケースでは、2画面分の旅客案内部品コンテンツを合成して、案内を表示させる。図 5 (2)のケースでは、情報サービスを部品コンテンツの1つとして扱い、図5 (1)と同様に、部品コンテンツを合成して案内を表示させる。上記のとおりに動作させることにより、ソフトウェアはメディア表示器が2画面であることを意識せずに案内を表示することを可能とした。表示処理では、表示レイヤという概念を導入した。旅客案内と情報サービスの切り替えなど、表示する案内の種類によってレイヤを組み替えることにより、同一画面における旅客案内と情報サービスの切り替えを可能にした。表示レイヤのイメージを図 6に記載する。図 6.表示レイヤ イメージ図4.2 複数情報サービスの同時表示女性専用車両と通常車両で異なる広告を表示するケースなど、複数の情報サービスを同時に表示することを実現するために、第4世代トレインビジョンシステムでは、ストリーミング配信ではなく、コンテンツと放映スケジュールを全メディア表示器に格納させる方式に変更した。メディア表示器は、自身に格納されたデータに従って表示を行う。イメージを図 7に記載する。図 7.コンテンツ表示 イメージ図具体的な実現方法は以下のとおりである。(1) 地上システム表示内容をメディア表示器単位、または、あらか4.第4世代トレインビジョンシステムの開発旧世代トレインビジョンシステムの課題を解決しつつ、さらなる魅力性能向上を目指して、三菱電機㈱は第4世代トレインビジョンシステムを開発した。当所は本システムのソフトウェア開発を担当した。本章では、第4世代トレインビジョンシステムで新規開発した機能のうち、以下の開発項目について紹介する。(1) 2画面一体型メディア表示器の採用(第4世代トレインビジョンシステム新規開発項目)(2) 複数情報サービスの同時表示(3.1項の対策)(3) 表示の同時切り替え(3.2項の対策)(4) コンテンツ配信性能の向上(3.3項の対策)4.1 2画面一体型メディア表示器の採用各表示機能の情報量向上と表現力向上を目指して、第4世代トレインビジョンシステムでは2画面一体型メディア表示器を開発した。この表示器は1つの制御基板で2つの画面を制御するものであり、片側の画面では旅客案内のみを表示し、他方では旅客案内と情報サービスを表示可能とした。本表示器を採用することによって、2画面を使った旅客案内や、旅客案内と情報サービスの同時表示を可能にした。表示例を図 5に記載する。図 5.2画面一体型メディア表示器による表示例2画面一体型メディア表示器では、2画面分の表示領域をまとめて1画面分の表示領域として扱い、部品コンテンツを合成することによって、各種案内を表示させる。図 5 (1)のケースでは、2画面分の旅客案内部品コンテンツを合成して、案内を表示させる。図 5 (2)のケースでは、情報サービスを部品コンテンツの1つとして扱い、図5 (1)と同様に、部品コンテンツを合成して案内を表示させる。上記のとおりに動作させることにより、ソフトウェアはメディア表示器が2画面であることを意識せずに案内を表示することを可能とした。表示処理では、表示レイヤという概念を導入した。旅客案内と情報サービスの切り替えなど、表示する案内の種類によってレイヤを組み替えることにより、同一画面における旅客案内と情報サービスの切り替えを可能にした。表示レイヤのイメージを図 6に記載する。図 6.表示レイヤ イメージ図4.2 複数情報サービスの同時表示女性専用車両と通常車両で異なる広告を表示するケースなど、複数の情報サービスを同時に表示することを実現するために、第4世代トレインビジョンシステムでは、ストリーミング配信ではなく、コンテンツと放映スケジュールを全メディア表示器に格納させる方式に変更した。メディア表示器は、自身に格納されたデータに従って表示を行う。イメージを図 7に記載する。図 7.コンテンツ表示 イメージ図具体的な実現方法は以下のとおりである。(1) 地上システム表示内容をメディア表示器単位、または、あらか図5.2画面一体型メディア表示器による表示例図6.表示レイヤ イメージ図図7.コンテンツ表示 イメージ図64第4世代トレインビジョンの開発設定されたメディア表示器グループ単位で編集する。(2)車上システムのコンテンツ配信地上システムで編集された表示内容に基づいて、メディア表示器単位で配信対象を決定し、メディア表示器に配信する。(3)車上システムの情報サービス表示メディア表示器は、自身に格納されたコンテンツと放映スケジュールに基づいて、情報サービスを表示する。これらの開発により、全メディア表示器で異なる表示を行うことを可能とし、かつ、旧世代トレインビジョンで実現できている表示(全メディア表示器で同じ情報サービスを表示すること)も可能とした。4.3 表示の同時切り替え3.2項の記載のとおり、旧世代トレインビジョンでは、メディア表示器間で微妙な表示ずれが発生した場合、以降の表示ではこのずれが残ったままになってしまう。これを解決するために、第4世代トレインビジョンでは、時刻を用いて表示切り替えを実施するようにした。各メディア表示器は所定の時刻になると案内を切り替える。表示切り替えのイメージを図8に記載する。時刻による表示切り替えの実現方法を以降に記載する。(1)旅客案内表示の同時切り替え旅客案内表示では、走行位置によって表示内容が異なる。例えば、列車が駅に停車しているときの表示内容と、駅間を走行しているときの表示内容は異なる。旧世代トレインビジョンにおける表示ずれは、同じ表示内容で長時間表示しているときに発生する。第4世代トレインビジョンでは、メディア端末装置とメディア表示器を以下のように動作させることにより、表示ずれを解消した。(a)メディア端末装置メディア端末装置は、列車が駅に停車している状態から走行状態に変化したときなど、表示内容を切り替える必要があると判断したときは、表示内容を切り替える時刻をメディア表示器に通知する。表示切り替え時刻の通知のイメージを図9に記載する。(b)メディア表示器メディア表示器は、メディア端末装置から通知された表示切り替え時刻をもとに、表示内容を切り替える。表示内容を切り替えたあとは、各案内の表示秒数を足した時刻を次の案内の表示開始時刻とし、順次案内を切り替える。表示切り替え処理のイメージを図10に記載する。(2)情報の同時切り替え旧世代トレインビジョンにおける情報サービス表示機能の放映スケジュールには、表示対象コンテンツと表示順が定義されていた。第4世代トレインビジョンでは、表示順ではなく時刻情報に基づいて放映スケジュールを決定するようにした。メディア表示器は、放映スケジュールに記載された時刻に到達すると、表示を切り替える。放映スケジュールのイメージを図11に記載する。じめ設定されたメディア表示器グループ単位で編集する。(2) 車上システムのコンテンツ配信地上システムで編集された表示内容に基づいて、メディア表示器単位で配信対象を決定し、メディア表示器に配信する。(3) 車上システムの情報サービス表示メディア表示器は、自身に格納されたコンテンツと放映スケジュールに基づいて、情報サービスを表示する。これらの開発により、全メディア表示器で異なる表示を行うことを可能とし、かつ、旧世代トレインビジョンで実現できている表示(全メディア表示器で同じ情報サービスを表示すること)も可能とした。4.3 表示の同時切り替え3.2項の記載のとおり、旧世代トレインビジョンでは、メディア表示器間で微妙な表示ずれが発生した場合、以降の表示ではこのずれが残ったままになってしまう。これを解決するために、第4世代トレインビジョンでは、時刻を用いて表示切り替えを実施するようにした。各メディア表示器は所定の時刻になると案内を切り替える。表示切り替えのイメージを図 8に記載する。図 8.表示切り替え イメージ図時刻による表示切り替えの実現方法を以降に記載する。(1) 旅客案内表示の同時切り替え旅客案内表示では、走行位置によって表示内容が異なる。例えば、列車が駅に停車しているときの表示内容と、駅間を走行しているときの表示内容は異なる。旧世代トレインビジョンにおける表示ずれは、同じ表示内容で長時間表示しているときに発生する。第4世代トレインビジョンでは、メディア端末装置とメディア表示器を以下のように動作させることにより、表示ずれを解消した。(a) メディア端末装置メディア端末装置は、列車が駅に停車している状態から走行状態に変化したときなど、表示内容を切り替える必要があると判断したときは、表示内容を切り替える時刻をメディア表示器に通知する。表示切り替え時刻の通知のイメージを図9に記載する。図 9.表示切り替え時刻の通知 イメージ図(b) メディア表示器メディア表示器は、メディア端末装置から通知された表示切り替え時刻をもとに、表示内容を切り替える。表示内容を切り替えたあとは、各案内の表示秒数を足した時刻を次の案内の表示開始時刻とし、順次案内を切り替える。表示切り替え処理のイメージを図 10に記載する。図 10.旅客案内表示同時切り替え イメージ図(2) 情報サービス表示の同時切り替え旧世代トレインビジョンにおける情報サービス表示機能の放映スケジュールには、表示対象コンテンツと表示順が定義されていた。第4世代トレインビジョンでは、表示順ではなく時刻情報に基づいて放映スケジュールを決定するようにした。メディア表示器は、放じめ設定されたメディア表示器グループ単位で編集する。(2) 車上システムのコンテンツ配信地上システムで編集された表示内容に基づいて、メディア表示器単位で配信対象を決定し、メディア表示器に配信する。(3) 車上システムの情報サービス表示メディア表示器は、自身に格納されたコンテンツと放映スケジュールに基づいて、情報サービスを表示する。これらの開発により、全メディア表示器で異なる表示を行うことを可能とし、かつ、旧世代トレインビジョンシステムで実現できている表示(全メディア表示器で同じ情報サービスを表示すること)も可能とした。4.3 表示の同時切り替え3.2項の記載のとおり、旧世代トレインビジョンシステムでは、メディア表示器間で微妙な表示ずれが発生した場合、以降の表示ではこのずれが残ったままになってしまう。これを解決するために、第4世代トレインビジョンシステムでは、時刻を用いて表示切り替えを実施するようにした。各メディア表示器は所定の時刻になると案内を切り替える。イメージを図 8に記載する。図 8.表示切り替え イメージ図時刻による表示切り替えの実現方法を以降に記載する。(1) 旅客案内表示の同時切り替え旅客案内表示では、走行位置によって表示内容が異なる。例えば、列車が駅に停車しているときの表示内容と、駅間を走行しているときの表示内容は異なる。旧世代トレインビジョンシステムにおける表示ずれは、同じ表示内容で長時間表示しているときに発生する。第4世代トレインビジョンシステムでは、メディア端末装置とメディア表示器を以下のように動作させることにより、表示ずれを解消した。(a) メディア端末装置メディア端末装置は、列車が駅に停車している状態から走行状態に変化したときなど、表示内容を切り替える必要があると判断したときは、表示内容を切り替える時刻をメディア表示器に通知する。イメージを図 9に記載する。図 9.表示切り替え時刻の通知 イメージ図(b) メディア表示器メディア表示器は、メディア端末装置から通知された表示切り替え時刻をもとにして、表示内容を切り替える。表示内容を切り替えたあとは、各案内表示秒数を足した時刻を次の内の表示開始時刻とし、順次案内を切り替える。表示切り替え処理のイメージを図 10に記載する。図 10.旅客案内表示同時切り替え イメージ図(2) 情報サービス表示の同時切り替え旧世代トレインビジョンシステムにおける情報サービス表示機能の放映スケジュールには、表示対象コンテンツと表示順が定義されていた。第4世代トレインビジョンシステムでは、表示順ではなく時刻情報に基づいて放映スケジュールを決定するようにした。メディア表示器は、放映スケジュールに記載された時じめ設定されたメディア表示器グループ単位で編集する。(2) 車上システムのコンテンツ配信地上システムで編集された表示内容に基づいて、メディア表示器単位で配信対象を決定し、メディア表示器に配信する。(3) 車上システムの情報サービス表示メディア表示器は、自身に格納されたコンテンツと放映スケジュールに基づいて、情報サービスを表示する。これらの開発により、全メディア表示器で異なる表示を行うことを可能とし、かつ、旧世代トレインビジョンで実現できている表示(全メディア表示器で同じ情報サービスを表示すること)も可能とした。4.3 表示の同時切り替え3.2項の記載のとおり、旧世代トレインビジョンでは、メディア表示器間で微妙な表示ずれが発生した場合、以降の表示ではこのずれが残ったままになってしまう。これを解決するために、第4世代トレインビジョンでは、時刻を用いて表示切り替えを実施するようにした。各メディア表示器は所定の時刻になると案内を切り替える。表示切り替えのイメージを図 8に記載する。図 8.表示切り替え イメージ図時刻による表示切り替えの実現方法を以降に記載する。(1) 旅客案内表示の同時切り替え旅客案内表示では、走行位置によって表示内容が異なる。例えば、列車が駅に停車しているときの表示内容と、駅間を走行しているときの表示内容は異なる。旧世代トレインビジョンにおける表示ずれは、同じ表示内容で長時間表示しているときに発生する。第4世代トレインビジョンでは、メディア端末装置とメディア表示器を以下のように動作させることにより、表示ずれを解消した。(a) メディア端末装置メディア端末装置は、列車が駅に停車している状態から走行状態に変化したときなど、表示内容を切り替える必要があると判断したときは、表示内容を切り替える時刻をメディア表示器に通知する。表示切り替え時刻の通知のイメージを図9に記載する。図 9.表示切り替え時刻の通知 イメージ図(b) メディア表示器メディア表示器は、メディア端末装置から通知された表示切り替え時刻をもとに、表示内容を切り替える。表示内容を切り替えたあとは、各案内の表示秒数を足した時刻を次の案内の表示開始時刻とし、順次案内を切り替える。表示切り替え処理のイメージを図 10に記載する。図 10.旅客案内表示同時切り替え イメージ図(2) 情報サービス表示の同時切り替え旧世代トレインビジョンにおける情報サービス表示機能の放映スケジュールには、示対象コンテン表示順が定義されていた。第4世代トレインビジョンでは、表示順ではなく時刻情報に基づいて放映スケジュールを決定するようにした。メディア表示器は、放図8.表示切り替え イメージ図図9.表示切り替え時刻の通知 イメージ図図10.旅客案内表示同時切り替え イメージ図65第4世代トレインビジョンの開発表示開始時刻にしたがって表示を切り替えるように変更したことにより、編成内の表示切り替えを一致させるだけでなく、他編成も含めた運用中の全編成の表示切り替えを一致させることも可能となる。(3)全メディア表示器の時刻同期機能上述の(1)と(2)では、全メディア表示器の時刻が完全に一致していることが必須条件となる。このことを実現するために、第4世代トレインビジョンでは、メディア表示器の時刻同期機能を実装した。時刻同期機能では、車両内のメディア端末装置が時刻サーバとなり、各メディア表示器に一定周期で時刻を配信する。メディア表示器は、メディア端末装置から受信した時刻に基づいて自身の時刻補正を行う。イメージを図12に記載する。これらを実現させることにより、第4世代トレインビジョンでは、全メディア表示器の表示切り替えを一致させることを可能とした。4.4 コンテンツ配信性能の向上コンテンツ配信とは、地上システムから車上システムのメディア表示器にコンテンツを配信する一連の処理を指す。トレインビジョンでは、地上システムでコンテンツが配信されてから、車上システムで表示されるまでの時間が実効性能となり、この性能が重要視される。第4世代トレインビジョンでは、配信手順の見直しと、各処理のオーバーヘッドを削減することによって、コンテンツ配信の実効速度を向上させた。以降に概要を記載する。(1)コンテンツ配信手順第4世代トレインビジョンのコンテンツ配信では、メディア中央装置に車上システムのコンテンツ管理サーバの役割を持たせた。メディア中央装置およびその他の装置は、装置間の転送を並行して実施することにより、実効速度を向上させた。各装置は、上位装置から受信したコンテンツを下位装置に転送している間に、別のコンテンツを上位装置から取得する。コンテンツ配信のイメージを図13に記載する。コンテンツ配信機能では、図13の手順①~③を各装置が並行して実施することによって、実効速度を向上させた。各手順の概要を以下に記載する。①配信対象と配信優先順位の決定メディア中央装置は、地上システムから必要なコンテンツを取得するために、自身のコンテンツ保有情報を送受信装置に通知する。また、メディア中央装置からメディア表示器に配信するコンテンツと、配信優先順位をメディア端末装置に通知する。②転送処理(地上システム-メディア中央装置)送受信装置はコンテンツ保有情報をもとにして、地上システムから必要なコンテンツを取得し、メディア中央装置に転送する。映スケジュールに記載された時刻に到達すると、表示を切り替える。放映スケジュールのイメージを図 11に記載する。図 11.放映スケジュール イメージ図表示開始時刻にしたがって表示をえるように変更したことにより、編成内の表示切り替えを一致させるだけでなく、他編成も含めた運用中の全編成の表示切り替えを一致させることも可能となる。(3) 全メディア表示器の時刻同期機能上述の(1)と(2)では、全メディア表示器の時刻が完全に一致していることが必須条件となる。このことを実現するために、第4世代トレインビジョンでは、メディア表示器の時刻同期機能を実装した。時刻同期機能では、車両内のメディア端末装置が時刻サーバとなり、各メディア表示器に一定周期で時刻を配信する。メディア表示器は、メディア端末装置から受信した時刻に基づいて自身の時刻補正を行う。イメージを図 12に記載する。図 12.時刻同期機能 イメージ図これらを実現させることにより、第4世代トレインビジョンでは、全メディア表示器の表示切り替えを一致させることを可能とした。4.4 コンテンツ配信性能の向上コンテンツ配信とは、地上システムから車上システムのメディア表示器にコンテンツを配信する一連の処理を指す。トレインビジョンでは、地上システムでコンテンツが配信されてから、車上システムで表示されるまでの時間が実効性能となり、この性能が重要視される。第4世代トレインビジョンでは、配信手順の見直しと、各処理のオーバーヘッドを削減することによって、コンテンツ配信の実効速度を向上させた。以降に概要を記載する。(1) コンテンツ配信手順第4世代トレインビジョンのコンテンツ配信では、メディア中央装置に車上システムのコンテンツ管理サーバの役割を持たせた。メディア中央装置およびその他の装置は、装置間の転送を並行して実施することにより、実効速度を向上させた。各装置は、上位装置から受信したコンテンツを下位装置に転送している間に、別のコンテンツを上位装置から取得する。コンテンツ配信のイメージを図 13に記載する。図 13.コンテンツ配信 イメージ図コンテンツ配信機能では、図 13の手順①~③を各装置が並行して実施することによって、実効速度を向上させた。各手順の概要を以下に記載する。① 配信対象と配信優先順位の決定メディア中央装置は、地上システムから必要なコンテンツを取得するために、自身のコンテンツ保有情報を送受信装置に通知する。また、メディア中央装置からメディア表示器に配信するコンテンツと、配信優先順位をメディア端末装置に通知する。② 転送処理(地上システム-メディア中央装置)送受信装置はコンテンツ保有情報をもとにして、刻に到達すると、表示を切り替える。放映スケジュールのイメージを図 11に記載する。図 11.放映スケジュール イメージ図開始時刻にしたがって表示を切り替えるように変更したことにより、編成内の表示切り替えを一致させるだけでなく、他編成も含めた運用中の全編成の表示切り替えを一致させることも可能となる。(3) 全メディア表示器の時刻同期機能上述の(1)と(2)では、全メディア表示器の時刻が完全に一致していることが必須条件となる。このことを実現するために、第4世代トレインビジョンシステムでは、メディア表示器の時刻同期機能を実装した。時刻同期機能では、車両内のメディア端末装置が時刻サーバとなり、各メディア表示器に一定周期で時刻を配信する。メディア表示器は、メディア端末装置から受信した時刻に基づいて自身の時刻補正を行う。イメージを図 12に記載する。図 12.時刻同期機能 イメージ図これらを実現させることにより、第4世代トレインビジョンシステムでは、全メディア表示器の表示切り替えを一致させることを可能とした。4.4 コンテンツ配信性能の向上コンテンツ配信とは、地上システムから車上システムのメディア表示器にコンテンツを配信する一連の処理を指す。トレインビジョンシステムでは、地上システムでコンテンツが配信されてから、車上システムで表示されるまでの時間が実効性能となり、この性能が重要視される。第4世代トレインビジョンシステムでは、配信手順の見直しと、各処理のオーバーヘッドを削減することによって、コンテンツ配信の実効速度を向上させた。以降に概要を記載する。(1) コンテンツ配信手順第4世代トレインビジョンシステムのコンテンツ配信では、メディア中央装置に車上システムのコンテンツ管理サーバの役割を持たせた。メディア中央装置およびその他の装置は、装置間の転送を並行して実施することにより、実効速度を向上させた。各装置は、上位装置から受信したコンテンツを下位装置に転送している間に、別のコンテンツを上位装置から取得する。コンテンツ配信のイメージを図 13に記載する。図 13.コンテンツ配信 イメージ図コンテンツ配信機能では、図 の~③を各装置が並行して実施することによって、実効速度を向上させた。各手順の概要を以下に記載する。① 配信対象と配信優先順位の決定メディア中央装置は、地上システムから必要なコンテンツを取得するために、自身のコンテンツ保有情報を送受信装置に通知する。また、メディア中央装置からメディア表示器に配信するコンテンツと、配信優先順位をメディア端末装置に通知する。② 転送処理(地上システム-メディア中央装置)送受信装置はコンテンツ保有情報をもとにして、地上システムから必要なコンテンツを取得し、メ刻に到達すると、表示を切り替える。放映スケジュールのイメージを図 11に記載する。図 11.放映スケジュール イメージ図表示開始時刻にしたがって表示を切り替えるようにしたことにより、編成内の表示切り替えを一致さだけでなく、他編成も含めた運用中の全編成の表示切り替えを一致させることも可能となる。(3) 全メディア表示器の時刻同期機能上述の(1)と(2)では、全メディア表示器の時刻が完全に一致していることが必須条件となる。このことを実現するために、第4世代トレインビジョンシステムでは、メディア表示器の時刻同期機能を実装した。時刻同期機能では、車両内のメディア端末装置が時刻サーバとなり、各メディア表示器に一定周期で時刻を配信する。メディア表示器は、メディア端末装置から受信した時刻に基づいて自身の時刻補正を行う。イメージを図 12に記載する。図 12.時刻同期機能 イメージ図これらを実現させることにより、第4世代トレインビジョンシステムでは、全メディア表示器の表示切り替えを一致させることを可能とした。4.4 コンテンツ配信性能の向上コンテンツ配信とは、地上システムから車上システムのメディア表示器にコンテンツを配信する一連の処理を指す。トレインビジョンシステムでは、地上システムでコンテンツが配信されてから、車上システムで表示されるまでの時間が実効性能となり、この性能が重要視される。第4世代トレインビジョンシステムでは、配信手順の見直しと、各処理のオーバーヘッドを削減することによって、コンテンツ配信の実効速度を向上させた。以降に概要を記載する。(1) コンテンツ配信手順第4世代トレインビジョンシステムのコンテンツ配信では、メディア中央装置に車上システムのコンテンツ管理サーバの役割を持たせた。メディア中央装置およびその他の装置は、装置間の転送を並行して実施することにより、実効速度を向上させた。各装置は、上位装置から受信したコンテンツを下位装置に転送している間に、別のコンテンツを上位装置から取得す。コンテンツ配信のイメージを図 13に記載する。図 13.コンテンツ配信 イメージ図コンテンツ配信機能では、図 13の手順①~③を各装置が並行して実施することによって、実効速度を向上させた。各手順の概要を以下に記載する。① 配信対象と配信優先順位の決定メディア中央装置は、地上システムから必要なコンテンツを取得するために、自身のコンテンツ保有情報を送受信装置に通知する。また、メディア中央装置からメディア表示器に配信するコンテンツと、配信優先順位をメディア端末装置に通知する。② 転送処理(地上システム-メディア中央装置)送受信装置はコンテンツ保有情報をもとにして、地上システムから必要なコンテンツを取得し、メ図11.放映スケジュール イメージ図図12.時刻同期機能 イメージ図図13.コンテンツ配信 イメージ図66第4世代トレインビジョンの開発③転送処理(メディア中央装置-メディア表示器)メディア端末装置は、メディア中央装置から通知された情報に基づいて、メディア表示器にコンテンツを転送する。自身が保持していないコンテンツは、メディア中央装置から取得する。(2)オーバーヘッドの削減第4世代トレインビジョンのコンテンツ配信では、各処理のオーバーヘッドを最小限にすることによって、実効速度を向上させた。具体的な実施項目は以下のとおりである。①装置間の通信プロトコル選定地上システムからコンテンツ管理サーバであるメディア中央装置に転送されるまでの間は、信頼性を重視してTCP(Transmission Control Protocol)による転送を実施した。車両内は転送速度を重視してブロードキャスト(注3)伝送を実施した。②車両内の装置間転送車両内の転送では、受信側のウィンドウに空きがある限り、受信側からの応答を待たずに送信側が送信を行なうスライディングウィンドウ(注4)方式を採用した。③整合性確認受信側が実施するデータの整合性確認は、ファイル単位の確認ではなく、より小さい通信パケット単位で確認するようにした。これにより、送信エラー時の再送を短時間で行えるようにした。上記(1)(2)の開発によって、コンテンツ配信処理の実効速度は旧世代トレインビジョンの2倍以上となり、開発目標を達成することができた。5.むすび第4世代トレインビジョンの開発により、旧世代トレインビジョンよりも情報量が多く、かつ、表現力に優れた情報を乗客に提供できるようになった。また、情報サービスなどのタイムリーな情報をより早く乗客に提供できるようになった。今後は、複数画面の連動表示、列車走行中のカメラ映像配信、地上に設置されている情報サービス提供媒体との連携など、さらなる魅力性能の向上を狙った開発が予定されている。また、トレインビジョンが持つ配信機能を用いて、音声システムとの連携、スマートフォン向け情報の配信、各車両の混雑具合の配信、トレインビジョンの故障履歴等の保守情報の収集など、表示媒体だけではなく情報伝送媒体として活用することも検討されている。トレインビジョンはサービス機器として、現状でとどまることなく日々進化するべきシステムである。今後も他社の追従を許すことなく国内シェアNo.1であり続けるために、魅力ある製品の実現を目指してトレインビジョンの開発を継続する。最後に、本開発にあたり、貴重なご意見、ご指導をいただいた関係者の方々に深く感謝申し上げる。執筆者紹介坂東 秀之 バンドウ ヒデユキ2003年入社。主にトレインビジョンのソフトウェア開発に従事。現在、伊丹事業(注3)ネットワーク内の伝送方式の1つ。ネットワーク上の不特定多数に同じ 所技術第2部映像情報システム課。データを送信する方式を指す。(注4)パケット通信の高速化を図るためのフロー制御の1つである。