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Category:電力システム

ブロック図エディタ適応によるエンジニアリングの効率化

プロジェクト管理ツールの導入と活用基盤の整備

ブロック図エディタは、三菱電機(株)製の発電プラント向け計装制御システム(以下、計装制御システム)MELSEP5用のエンジニアリングツールMELGEARを構成するツールである。近年、発電プラントでは建設・リプレース時の工期短縮・コスト削減が求められている。ブロック図エディタは、計装制御ロジックの基本設計から試験までのエンジニアリングを効率化することを目的に開発した。本稿では、エンジニアリングの効率化のために開発したブロック図エディタの適用により、どのように効率化できたかを紹介する。

ブロック図エディタ適応によるエンジニアリングの効率化[PDFファイル]

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ブロック図エディタ適応によるエンジニアリングの効率化
1.まえがき
ブロック図エディタは、三菱電機㈱製の発電プラント向け計装制御システム(以下、計装制御システム)MELSEP5用のエンジニアリングツールMELGEARを構成するツールである。近年、発電プラントでは建設・リプレース時の工期短縮・コスト削減が求められている。ブロック図エディタは、計装制御ロジックの基本設計から試験までのエンジニアリングを効率化することを目的に開発した。本稿では、エンジニアリングの効率化のために開発したブロック図エディタの適用により、どのように効率化できたかを紹介する。
2.エンジニアリングの効率化
ブロック図は、計装制御システムのエンジニアリングで中心となる制御図面であり、プラントメーカで作成され、発電事業者に納入されるものである。ブロック図には、以下の事項が記述される。(1)発電プラントを構成するボイラ、タービン、発電機などの現場設備と、制御装置、計算機などの計装機器の入出力インタフェース仕様(2)プラント全体及び現場設備の制御ロジック(3)上記制御のフロー及びタイミング(4)プラント系統図制御ロジックが記述されたブロック図の例を図1に示す。ブロック図エディタ適用前、エンジニアリングの大半は手作業であった。ブロック図エディタ適用後は、ブロック図編集専用ツールの適用及び作業の機械化により、エンジニアリング効率を向上することができた。また、手作業での誤りが減ったことによる品質向上、手戻り発生の抑制による効率化も図れた。次に、ブロック図エディタ適用前後のエンジニアリングフローの変化について説明する。適用前後のエンジニアリングフローを図2及び図3に示す。図中①~③の各エンジニアリングが、ブロック図エディタ適用前後でどのように変化したのかを説明する。①システム設計 【適用前】プラントメーカで、市販CADツールを用いてブロック図が作成される。CADツールには、ブロック図の作画に特化した省力化機能はない。 【適用後】ブロック図エディタの作画に特化した機能を用い、CADツールよりも効率よく作図できる。一般論文ブロック図エディタ適応によるエンジニアリングの効率化神戸事業所 技術第1部 発電計算機システム課末次 満図1.制御ロジックが記述されたブロック図図2.ブロック図エディタ適用前のエンジニアリングフロー図3.ブロック図エディタ適用後のエンジニアリングフロー43ブロック図エディタ適応によるエンジニアリングの効率化②ソフトウェア生産【適用前】三菱電機㈱をはじめとする計装メーカは、プラントメーカから紙図面としてブロック図を受領する。計装メーカでは紙図面を参照し、計算機入出力データ、ハードウェア入出力リスト、制御プログラムを手作業で作成する。【適用後】電子データとしてブロック図が送付される。以下のとおり、電子データを用いて効率よく生産する。◦計算機入出力データ、ハードウェア入出力リスト ブロック図データからエクスポートしたデータを編集して作成する。◦制御プログラム ブロック図データから制御プログラムを生成する。③ブロック図の改定【適用前】ソフトウェア生産作業で作成された計算機入出力データ及びハードウェア入出力リストをプラントメーカが市販CADツールを用いて手入力ブロック図に反映する。【適用後】計算機入出力データ及びハードウェア入出力リストをブロック図データにインポートして反映する、また、変更点自動抽出機能を用い効率よく改定する。3.エンジニアリング効率化の詳細本章では、効率化した作業の詳細をブロック図エディタ適用前後のエンジニアリングフローを併記して比較、説明する。3.1 ブロック図作図作業の効率化ブロック図エディタには、ブロック図特有の記述を自動で描画する機能を搭載し、従来のCADツールによる作図と比較し、大幅に作図作業を効率化した。例として、“フィールド機能”を説明する。フィールド機能は、ブロック図に入力されたデータを様々な形式でシート上に引用して描画する機能である。ブロック図エディタを用いてFX回路(注1)、グラフ及び座標リストを作図する手順を以下に示す。(1)FX部品の貼り付け図4に、部品を貼り付ける操作を示す。FX部品を部品パレットからシートにドラッグ&ドロップする。(2)折線変換座標の設定FX部品の折線変換座標パラメータを設定する。パラメータ設定画面を図5に示す。図6に示すとおり、パラメータを設定するとフィールド機能により折線座標のグラフ及びリストが自動で描画される。作図作業者は、サイズ及び位置を調整し、レイアウトを整える。(注1) 入力値を折線変換して出力する回路。② ソフトウェア生産【適用前】三菱電機㈱をはじめとする計装メーカは、プラントメーカから紙図面としてブロック図を受領する。計装メーカでは紙図面を参照し、計算機入出力データ、ハードウェア入出力リスト、制御プログラムを、手作業で作成する。【適用後】電子データとしてブロック図が送付される。以下のとおり、電子データを用いて効率よく生産する。 計算機入出力データ、ハードウェア入出力リストブロック図データからエクスポートしたデータを編集して作成する。 制御プログラムブロック図データから制御プログラムを生成する。③ ブロック図の改定【適用前】ソフトウェア生産作業で作成された計算機入出力データ及びハードウェア入出力リストを、プラントメーカが、市販CADツールを用いて、手入力でブロック図に反映する。【適用後】計算機入出力データ及びハードウェア入出力リストをブロック図データにインポートして反映する、また、変更点自動抽出機能を用い効率よく改定する。3. エンジニアリング効率化の詳細本章では効率化した作業の詳細を、ブロック図エディタ適用前後のエンジニアリングフローを併記して比較、説明する。3.1. ブロック図作図作業の効率化ブロック図エディタには、ブロック図特有の記述を自動で描画する機能を搭載し、従来のCADツールによる作図と比較し、大幅に作図作業を効率化した。例として、“フィールド機能”を説明する。フィールド機能は、ブロック図に入力されたデータを、様々な形式でシート上に引用して描画する機能である。ブロック図エディタを用いて、FX回路(注1)、グラフ及び座標リストを作図する手順を以下に示す。(1) FXけ図 4に、部品を貼り付ける操作を示す。FX部品を、部品パレットからシートにドラッグ&ドロップする。図 4. FX 部品の貼り付け(2) 折線変換座標の設定FX部品の折線変換座標パラメータを設定する。パラメータ設定画面を図 5に示す。図 5. パラメータの設定図 6に示すとおり、パラメータを設定するとフィールド機能により折線座標のグラフ及びリストが自動で描画される。作図作業者は、サイズ及び位置を調整し、レイアウトを整える。図 6. グラフ及び座標リストの自動描画グラフ及び座標リストが自動で描画されるパラメータ設定画面部品パレットより、ドロップして貼り付ける② ソフトウェア生産【適用前】三菱電機㈱をはじめとする計装メーカは、プラントメーカから紙図面としてブロック図を受領する。計装メーカでは紙図面を参照し、計算機入出力データ、ハードウェア入出力リスト、制御プログラムを、手作業で作成する。【適用後】電子データとしてブロック図が送付される。以下のとおり、電子ータを用いて効率よく生産する。 計算機入出力データ、ハードウェア入出力リストブロック図データからエクスポートしたデータを編集して作成する。 制御プログラムブロック図データから制御プログラムを生成する。③ ブロック図の改定【適用前】ソフトウェア生産作業で作成された計算機入出力データ及びハードウェア入出力リストを、プラントメーカが、市販CADツールを用いて、手入力でブロック図に反映する。【適用後】計算機入出力データ及びハードウェア入出力リストをブロック図データにインポートして反映する、また、変更点自動抽出機能を用い効率よく改定する。3. エンジニアリング効率化の詳細本章では効率化した作業の詳細を、ブロック図エディタ適用前後のエンジニアリングフローを併記して比較、説明する。3.1. ブロック図作図作業の効率化ブロック図エディタには、ブロック図特有の記述を自動で描画する機能を搭載し、従来のCADツールによる作図と比較し、大幅に作図作業を効率化した。例として、“フィールド機能”を説明する。フィールド機能は、ブロック図に入力されたデータを、様々な形式でシート上に引用して描画する機能である。ブロック図エディタを用いて、FX回路(注1)、グラフ及び座標リストを作図する手順を以下に示す。(注1) 入力値を折線変換して出力する回路。(1) FX部品の貼り付け図 4に、部品を貼り付ける操作を示す。FX部品を、部品パレットからシートにドラッグ&ドロップする。4. FX 貼りけ(2) 折線変換座標の設定FX部品の折線変換座標パラメータを設定する。パラメータ設定画面を図 5に示す。図 5. パラメータの設定図 6に示すとおり、パラメータを設定するとフィールド機能により折線座標のグラフ及びリストが自動で描画される。作図作業者は、サイズ及び位置を調整し、レイアウトを整える。図 6. グラフ及び座標リストの自動描画グラフ及び座標リストが自動で描画されるパラメータ設定画面ットより、ドラッグ&ドロップしてシートに貼り付ける② ソフトウェア生産【適用前】三菱電機㈱をはじめとする計装メーカは、プラントメーカから紙図面としてブロック図を受領する。計装メーカでは紙図面を参照し、計算機入出力データ、ハードウェア入出力リスト、制御プログラムを、手作業で作成する。【適用後】電子データとしてブロック図が送付される。以下のとおり、電子データを用いて効率よく生産する。 計算機入出力データ、ハードウェア入出力リストブロック図データからエクスポートしたデータを編集して作成する。 制御プログラムブロック図データから制御プログラムを生成する。③ ブロック図の改定【適用前】ソフトウェア生産作業で作成された計算機入出力データ及びハードウェア入出力リストを、プラントメーカが、市販CADツールを用いて、手入力でブロック図に反映する。【適用後】計算機入出力データ及びハードウェア入出力リストをブロック図データにインポートして反映する、また、変更点自動抽出機能を用い効率よく改定する。3. エンジニアリング効率化の詳細本章では効率化した作業の詳細を、ブロック図エディタ適用前後のエンジニアリングフローを併記して比較、説明する。3.1. ブロック図作図作業の効率化ブロック図エディタには、ブロック図特有の記述を自動で描画する機能を搭載し、従来のCADツールによる作図と比較し、大幅に作図作業を効率化した。例として、“フィールド機能”を説明する。フィールド機能は、ブロック図に入力されたデータを、様々な形式でシート上に引用して描画する機能である。ブロック図エディタを用いて、FX回路(注1)、グラフ及び座標リストを作図する手順を以下に示す。(注1) 入力値を折線変換して出力する回路。(1) FX部品の貼り付け図 4に、部品を貼り付ける操作を示す。FX部品を、部品パレットからシートにドラッグ&ドロップする。図 4. FX 部品の貼り付け(2) 折線変換座標の設定FX部品の折線変換座標パラメータを設定する。パラメータ設定画面を図 5に示す。図 5. パラメータの設定図 6に示すとおり、パラメータを設定するとフィールド機能により折線座標のグラフ及びリストが自動で描画される。作図作業者は、サイズ及び位置を調整し、レイアウトを整える。図 6. グラフ及び座標リストの自動描画グラフ及び座標リストが自動で描画されるパラメータ設定画面部品パレットより、ドラッグ&ドロップしてシートに貼り付ける図 4.FX部品の貼り付け図5.パラメータの設定図6.グラフ及び座標リストの自動描画44ブロック図エディタ適応によるエンジニアリングの効率化( 3)入出力信号の結線入力信号及び出力信号をFX部品に接続する。接続後の画面イメージを図7に示す。ブロック図エディタ適用前は、CADツールの矩形、直線、テキストボックスを用いて、FX回路、グラフ及び座標リストを作画していた。ブロック図エディタ適用前後の作図フローを図8に示す。(a)作画作業の効率化ブロック図エディタでは、FX部品のパラメータに座標を設定するだけで、グラフ及び座標リストが自動で描画されるため、作図作業が効率化できた。グラフ、座標リストと同様に入力したデータを再利用することで作画が効率化できる要素を34個抽出し、全てフィールドとして実装た。(b)更新漏れの排除パラメータ変更時は、グラフ及び座標リストが自動で再描画されるため、改定時のグラフ及び座標リストの更新漏れは発生しない。フィールド機能の他にも、同じ値を設定する必要があるパラメータの値を自動で同期させる“パラメータリンク機能”を設け、更新漏れによる設定不整合を排除している。3.2 制御ソフトウェア製作作業の効率化ブロック図エディタには、データエクスポート機能及び制御プログラム生成機能を搭載し、計装メーカの作業を効率化している。これらの機能について説明する。(1)データエクスポート機能本機能は、ブロック図データから必要とするデータをエクスポートして流用を可能とする機能である。例として、計算機入出力データのエンジニアリングがどのように効率化されたかを説明する。ブロック図エディタ適用前は、計装メーカのエンジニアが紙のブロック図を参照し、入出力箇所を抽出していた。ブロック図に記述されている入出力箇所の例を図9に示す。1つの発電プラントあたり、このような入出力箇所が約50,000個ある。これらを全て抽出して、データファイルに手入力していた。ブロック図エディタ適用前後のエンジニアリングフローを図10に示す。(3) 入出力信号の結線入力信号及び出力信号をFX部品に接続する。接続後の画面イメージを図 7に示す。図 7. 部品を結線するブロックエディタ適用前は、CADツールの矩形、直線、テキストボックスを用いて、FX回路、グラフ及び座標リストを作画していた。ブロック図エディタ適用前後の、作図フローを図 8に示す。図 8. FX 回路効率化(a) 作画作業の効率化ブロック図エディタでは、FX部品のパラメータに座標を設定するだけで、グラフ及び座標リストが自動で描画されるため、作図作業が効率化できた。グラフ、座標リストと同様に、入力したデータを再利用することで作画が効率化できる要素を34個抽出し、全てフィールドとして実装した。(b) 更新漏れの排除パラメータ変更時は、グラフ及び座標リストが自動で再描画されるため、改定時のグラフ及び座標リストの更新漏れは発生しない。フィールド機能の他にも、同じ値を設定する必要があるパラメータの値を自動で同期させる“パラメータリンク機能”を設け、更新漏れによる設定不整合を排除している。3.2. 制御ソフトウェア製作作業の効率化ブロック図エディタには、データエクスポート機能及び制御プログラム生成機能を搭載し、計装メーカの作業を効率化している。これらの機能について説明する。(1) データエクスポート機能本機能は、ブロック図データから、必要とするデータをエクスポートして流用を可能とする機能である。例として、計算機入出力データのエンジニアリングが、どのように効率化されたかを説明する。ブロック図エディタ適用前は、計装メーカのエンジニアが紙のブロック図を参照し、入出力箇所を抽出していた。ブロック図に記述されている入出力箇所の例を図 9に示す。1つの発電プラントあたり、このような入出力箇所が約50,000個ある。これらを全て抽出して、データファイルに手入力していた。図 9. ブロック図に記述された入出力部ブロック図エディタ適用前後のエンジニアリングフローを図 10に示す。FCC-00285 燃料ガス圧縮機システム自動運転中(起動ランプ点灯)LDFCC-0028燃料ガス圧縮機システム自動 1運転中(起動ランプ点灯)LD入力部拡大出力部拡大入力信号 出力信号適用前 適用後①折線関数の座標を設計する。②矩形、テキストボックスを用いシンボルを作図する。FX*1FX*10 400MW2240t/h③直線を用いグラフを作画する。④テキストボックスを用い座標リストを作画する。FX*10 400MW2240t/h FX-1MW t/hX1:0.0 Y1:22.0X2:60.0 Y2:32.0X3:115.0 Y3:35.0X4:270.0 Y4:35.0X5:330.0 Y5:38.9X6:400.0 Y6:40.0①折線関数の座標を設計する。②シートにFX 部品を貼り付ける。③FX 部品のパラメータに座標を設定し、グラフと座標リストを自動作画する。パラメータ設定画面グラフフィールド座標リストフィールド(3) 入出力信号の結線入力信号及び出力信号をFX部品に接続する。接続後の画面イメージを図 7に示す。図 7. 部品を結線するブロック図エディタ適用前は、CADツールの矩形、直線、テキストボックスを用いて、FX回路、グラフ及び座標リストを作画していた。ブロック図エディタ適用前後の、作図フローを図 8に示す。図 8. FX 回路作図の効率化(a) 作画作業の効率化ブロック図エディタでは、FX部品のパラメータに座標を設定するだけで、グラフ及び座標リストが自動で描画されるため、作図作業が効率化できた。用することで作画が効率化できる要素を34個抽出し、全てフィールドとして実装した。(b) 更新漏れの排除パラメータ変更時は、グラフ及び座標リストが自動で再描画されるため、改定時のグラフ及び座標リストの更新漏れは発生しない。フィールド機能の他にも、同じ値を設定する必要があるパラメータの値を自動で同期させる“パラメータリンク機能”を設け、更新漏れによる設定不整合を排除している。3.2. 制御ソフトウェア製作作業の効率化ブロック図エディタには、データエクスポート機能及び制御プログラム生成機能を搭載し、計装メーカの作業を効率化している。これらの機能について説明する。(1) データエクスポート機能本機能は、ブロック図データから、必要とするデータをエクスポートして流用を可能とする機能である。例として、計算機入出力データのエンジニアリングが、どのように効率化されたかを説明する。ブロック図エディタ適用前は、計装メーカのエンジニのブロッし箇所を抽出していた。ブロック図に記述されている入出力箇所の例を図 9に示す。1つの発電プラントあたり、このような入出力箇所が約50,000個ある。これらを全て抽出して、データファイルに手入力していた。図 9. ブロ図に記れ入ブロック図エディタ適用前後のエンジニアリングフローを図 10に示す。FCC-00285 燃料ガス圧縮機システム自動運転中(起動ランプ点灯)LDFCC-0028燃料ガス圧縮機システム自動 1運転中(起動ランプ点灯)LD入力部拡大出力部拡大入力信号 出力信号適用前 適用後①折線関数の座標を設計する。②矩形、テキストボックスを用いシンボルを作図する。FX*1FX*10 400MW2240t/h③直線を用いグラフを作画する。④テキストボックスを用い座標リストを作画する。FX*10 400MW2240t/h FX-1MW t/hX1:0.0 Y1:22.0X2:60.0 Y2:32.0X3:115.0 Y3:35.0X4:270.0 Y4:35.0X5:330.0 Y5:38.9X6:400.0 Y6:40.0①折線関数の座標を設計する。②シートにFX 部品を貼り付ける。③FX 部品のパラメータに座標を設定し、グラフと座標リストを自動作画する。パラメータ設定画面グラフフィールド座標リストフィールド(3) 出力信号の結線入力信号及び出力信号をFX部品に接続する。接続後の画面イメージを図 7に示す。図 7. 部品を結線するブロック図エディタ適用前は、CADツールの矩形、直線、テキストボックスを用いて、FX回路、グラフ及び座標リストを作画していた。ブロック図エディタ適用前後の、作図フローを図 8に示す。作図のラメータに座リストが自動できた。標リストと同様に入力したデータを再利し、全てフィールドとして実装した。(b) 更新漏れの排除パラメータ変更時は、グラフ及び座標リストが自動で再描画されるため、改定時のグラフ及び座標リストの更新漏れは発生しない。フィールド機能の他にも、同じ値を設定する必要があるパラメータの値を自動で同期させる“パラメータリンク機能”を設け、更新漏れによる設定不整合を排除している。3.2. 制御ソフトウェア製作作業の効率化ブロック図エディタには、データエクスポート機能及び制御プログラム生成機能を搭載し、計装メーカの作業を効率化している。これらの機能について説明する。(1) データエクスポート機能本機能は、ブロック図データから必要とするデータをエクスポートして流用を可能とする機能である。例として、計算機入出力データのエンジニアリングがどのように効率化されたかを説明する。ブロック図エディタ適用前は、計装メーカのエンジニアが紙のブロック図を参照し、入出力箇所を抽出していた。ブロック図に記述されている入出力箇所の例を図 9に示す。1つの発電プラントあたり、このような入出力箇所が約50,000個ある。これらを全て抽出して、データファイルに手入力していた。図 9. ブロック図に記述された入出力部ブロック図エディタ適用前後のエンジニアリングフローを図 10に示す。FCC-00285 燃料ガス圧縮機システム自動運転中(起動ランプ点灯)LDFCC-0028燃料ガス圧縮機システム自動 1運転中(起動ランプ点灯)LD入力部拡大出力部拡大入力信号 出力信号適用前 適用後①折線関数の座標を設計する。②矩形、テキストボックスを用いシンボルを作図する。FX*1FX*10 400MW2240t/h③直線を用いグラフを作画する。④テキストボックスを用い座標リストを作画する。FX*10 400MW2240t/h FX-1MW t/hX1:0.0 Y1:22.0X2:60.0 Y2:32.0X3:115.0 Y3:35.0X4:270.0 Y4:35.0X5:330.0 Y5:38.9X6:400.0 Y6:40.0①折線関数の座標を設計する。②シートにFX 部品を貼り付ける。③FX 部品のパラメータに座標を設定し、グラフと座標リストを自動作画する。パラメータ設定画面グラフフィールド座標リストフィールド図7.部品を結線する図9.ブロック図に記述された入出力部図8.FX回路作図の効率化45ブロック図エディタ適応によるエンジニアリングの効率化(a)データファイル作成作業の効率化必要なデータをCSV形式でエクスポート可能としたことで、手作業による抽出作業及び抽出したデータの入力作業が不要となり効率化できた。(b)抽出漏れ、入力誤りの排除ブロック図からの抽出漏れ及びデータファイルへの入力誤りも排除でき、計算機入出力データの品質が向上した。(2)制御プログラム生成機能本機能は、ブロック図データから制御プログラムを生成する機能である。ブロック図エディタ適用前は、計装メーカのエンジニアが紙のブロック図をもとに制御ロジック図面及び制御プログラムを製作していた。製作量は、1つの発電プラントあたり約5,000枚である。ブロック図エディタ適用前後の制御プログラムエンジニアリングフローを図11に示す。(a)制御ロジック図面作図作業の排除ブロック図データから制御ロジックを抽出して制御プログラムを生成する機能により、制御ロジック図面を作図する作業が不要となり、大幅な工程短縮を実現した。(b)上位図書とプログラム不整合の排除ブロック図から制御プログラムを生成することから、上位図書であるブロック図とプログラムは必ず一致し、不整合は発生しなくなった。3.3 ブロック図改訂作業の効率化ブロック図エディタには、データインポート機能及び変更点自動抽出機能を搭載し、プラントメーカの作業を効率化した。これらの機能について説明する。(1)データインポート機能本機能は、計装メーカが作成したデータをブロック図にインポートする機能である。例として、計算機入出力データをブロック図に反映するエンジニアリングがどのように効率化されたかを説明る。ブロック図エディタ適用前は、プラントメーカのエンジニアが計算機入出力データを参照し、CADツールを用いて、手入力でブロック図に反映していた。ブロック図エディタ適用前後の、計算機入出力データ反映作業フローを図12に示す。( a)計算機データ反映作業の効率化外部データをインポートしブロック図に反映する機能により手入力作業が不要となり、効率化できた。(b)データ入力誤りの排除手作業によるデータ入力誤りも排除でき、ブロック図の品質が向上した。図 10. 計出力データエンジニアリ効率化(a) データファイル作成作業の効率化必要なデータをCSV形式でエクスポート可能としたことで、手作業による抽出作業及び抽出したデータの入力作業が不要となり、効率化できた。(b) 抽出漏れ、入力誤りの排除ブロック図からの抽出漏れ及びデータファイルへの入力誤りも排除でき、計算機入出力データの品質が向上した。(2) 制御プログラム生成機能本機能は、ブロック図データから制御プログラムを生成する機能である。ブロック図エディタ適用前は、計装メーカのエンジニアが紙のブロック図をもとに制御ロジック図面及び制御プログラムを製作していた。製作量は、1つの発電プラントあたり約5,000枚である。ブロック図エディタ適用前後の制御プログラムエンジニアリングフローを図 11に示す。図 11. 制御プログラム エンジニアリングの効率化(a) 制御ロジック図面作図作業の排除ブロック図データから制御ロジックを抽出して制御プログラムを生成する機能により、制御ロジック図面を作図する作業が不要となり、大幅な工程短縮を実現した。(b) 上位図書とプログラム不整合の排除ブロック図から制御プログラムを生成することから、上位図書であるブロック図とプログラムは必ず一致し、不整合は発生しなくなった。3.3. ブロック図改訂作業の効率化ブロック図エディタには、データインポート機能及び変更点自動抽出機能を搭載し、プラントメーカの作業を効率化した。これらの機能について説明する。(1) データインポート機能本機能は、計装メーカが作成したデータをブロック図にインポートする機能である。例として、計算機入出力データをブロック図に反映するエンジニアリングが、どのように効率化されたかを説明する。ブロック図エディタ適用前は、プラントメーカのエンジニアが計算機入出力データを参照し、CADツールを用いて、手入力でブロック図に反映していた。ブロック図エディタ適用前後の、計算機入出力データ反映作業フローを図 12に示す。図 12. 計算機入出力データ反映作業の効率化(a) 計算機データ反映作業の効率化外部データをインポートしブロック図に反映する機能により手入力作業が不要となり、効率化できた。(b) データ入力誤りの排除手作業によるデータ入力誤りも排除でき、ブロック図の品質が向上した。適用前適用後①計算機入出力データを入手する。②CAD ツールを用い、反映すべき情報をブロック図に手入力する。①計算機入出力データを入手する。②反映すべき情報をブロック図データにインポートする。適用前 適用後②ブロック図を参照し計算機が入出力する制御信号を抽出する。①紙に印刷されたブロック図を入手する。①ブロック図データを入手する。③抽出した制御信号を、データファイルに入力する。④付加情報を入力しデータを完成させる。②ブロック図データから、計算機が入出力する制御信号をエクスポートし、データファイルに読み込む。③付加情報を入力しデータを完成させる。適用前 適用後②ブロック図に基づき、制御ロジック図面を作図する。③制御ロジック図面をコンパイルし、制御プログラムを生成する。②ブロック図をコンパイルし、制御プログラムを生成する。①紙に印刷されたブロック図を入手する。①ブロック図データを入手する。図 10. 計算機入出力データエンジニアリングの効率化(a) データファイル作成作業の効率化必要なデータをCSV形式でエクスポート可能としたことで、手作業による抽出作業及び抽出したデータの入力作業が不要となり、効率化できた。(b) 抽出漏れ、入力誤りの排除ブロック図からの抽出漏れ及びデータファイルへの入力誤りも排除でき、計算機入出力データの品質が向上した。(2) 制御プログラム生成機能本機能は、ブロック図データから制御プログラムを生成する機能である。ブロック図エディタ適用前は、計装メーカのエンジニアが紙のブロック図をもとに制御ロジック図面及び制御プログラムを製作していた。製作量は、1つの発電プラントあたり約5,000枚である。ブロック図エディタ適用前後の制御プログラムエンジニアリングフローを図 11に示す。図 11. 制御プログラム エンジニアリングの効率化(a) 制御ロジック図面作図作業の排除ブロック図データから制御ロジックを抽出して制御プログラムを生成する機能により、制御ロジック図面を作図する作業が不要となり、大幅な工程短縮を実現した。(b) 上位図書とプログラム不整合の排除ブロック図から制御プログラムを生成することから、上位図書であるブロック図とプログラムは必ず一致し、不整合は発生しなくなった。3.3. ブロック図改訂作業の効率化ブロック図エディタには、データインポート機能及び変更点自動抽出機能を搭載し、プラントメーカの作業を効率化した。これらの機能について説明する。(1) データインポート機能本機能は、計装メーカが作成したデータをブロック図にインポートする機能である。例として、計算機入出力データをブロック図に反映するエンジニアリングが、どのように効率化されたかを説明する。ブロック図エディタ適用前は、プラントメーカのエンジニアが計算機入出力データを参照し、CADツールを用いて、手入力でブロック図に反映していた。ブロック図エディタ適用前後の、計算機入出力データ反映作業フローを図 12に示す。図 12. 計算機入出力データ反映作業の効率化(a) 計算機データ反映作業の効率化外部データをインポートしブロック図に反映する機能により手入力作業が不要となり、効率化できた。(b) データ入力誤りの排除手作業によるデータ入力誤りも排除でき、ブロック図の品質が向上した。適用前適用後①計算機入出力データを入手する。②CAD ツールを用い、反映すべき情報をブロック図に手入力する。①計算機入出力データを入手する。②反映すべき情報をブロック図データにインポートする。適用前 適用後②ブロック図を参照し計算機が入出力する制御信号を抽出する。①紙に印刷されたブロック図を入手する。①ブロック図データを入手する。③抽出した制御信号を、データファイルに入力する。④付加情報を入力しデータを完成させる。②ブロック図データから、計算機が入出力する制御信号をエクスポートし、データファイルに読み込む。③付加情報を入力しデータを完成させる。適用前 適用後②ブロック図に基づき、制御ロジック図面を作図する。③制御ロジック図面をコンパイルし、制御プログラムを生成する。②ブロック図をコンパイルし、制御プログラムを生成する。①紙に印刷されたブロック図を入手する。①ブロック図データを入手する。図 10. 計算機入出力データエンジニアリングの効率化(a) データファイル作成作業の効率化必要なデータをCSV形式でエクスポート可能としたことで、手作業による抽出作業及び抽出したデータの入力作業が不要となり、効率化できた。(b) 抽出漏れ、入力誤りの排除ブロック図からの抽出漏れ及びデータファイルへの入力誤りも排除でき、計算機入出力データの品質が向上した。(2) 制御プログラム生成機能本機能は、ブロック図データから制御プログラムを生成する機能である。ブロック図エディタ適用前は、計装メーカのエンジニアが紙のブロック図をもとに制御ロジック図面及び制御プログラムを製作していた。製作量は、1つの発電プラントあたり約5,000枚である。ブロック図エディタ適用前後の制御プログラムエンジニアリングフローを図 11に示す。図 11. 制御プログラム エンジニアリングの効率化(a) 制御ロジック図面作図作業の排除ブロック図データから制御ロジックを抽出して制御プログラムを生成する機能により、制御ロジック図面を作図する作業が不要となり、大幅な工程短縮を実現した。(b) 上位図書とプログラム不整合の排除ブロック図から制御プログラムを生成することから、上位図書であるブロック図とプログラムは必ず一致し、不整合は発生しなくなった。3.3. ブロック図改訂作業の効率化ブロック図エディタには、データインポート機能及び変更点自動抽出機能を搭載し、プラントメーカの作業を効率化した。これらの機能について説明する。(1) データインポート機能本機能は、計装メーカが作成したデータをブロック図にインポートする機能である。例として、計算機入出力データをブロック図に反映するエンジニアリングが、どのように効率化されたかを説明する。ブロック図エディタ適用前は、プラントメーカのエンジニアが計算機入出力データを参照し、CADツールを用いて、手入力でブロック図に反映していた。ブロック図エディタ適用前後の、計算機入出力データ反映作業フローを図 12に示す。図 12. 計算機入出力データ反映作業の効率化(a) 計算機データ反映作業の効率化外部データをインポートしブロック図に反映する機能により手入力作業が不要となり、効率化できた。(b) データ入力誤りの排除手作業によるデータ入力誤りも排除でき、ブロック図の品質が向上した。適用前適用後①計算機入出力データを入手する。②CAD ツールを用い、反映すべき情報をブロック図に手入力する。①計算機入出力データを入手する。②反映すべき情報をブロック図データにインポートする。適用前 適用後②ブロック図を参照し計算機が入出力する制御信号を抽出する。①紙に印刷されたブロック図を入手する。①ブロック図データを入手する。③抽出した制御信号を、データファイルに入力する。④付加情報を入力しデータを完成させる。②ブロック図データから、計算機が入出力する制御信号をエクスポートし、データファイルに読み込む。③付加情報を入力しデータを完成させる。適用前 適用後②ブロック図に基づき、制御ロジック図面を作図する。③制御ロジック図面をコンパイルし、制御プログラムを生成する。②ブロック図をコンパイルし、制御プログラムを生成する。①紙に印刷されたブロック図を入手する。①ブロック図データを入手する。図10.計算機入出力データエンジニアリングの効率化図11.制御プログラム エンジニアリングの効率化図12.計算機入出力データ反映作業の効率化46ブロック図エディタ適応によるエンジニアリングの効率化(2)変更点自動抽出機能本機能は、改定前後のブロック図データを比較し、変更点を自動で抽出する機能である。抽出した変更点にマークを付け、強調した状態で表示・印字が行える。ブロック図エディタ適用前は、変更点が台帳で管理されており、印刷後に手作業でマークされていた。ブロック図エディタ適用前後の、変更点抽出フローを図13に示す。(a)変更点抽出作業の効率化変更点抽出機能により、機械的に変更点が抽出でき、効率化できた。(b)マーク漏れの排除機械的に変更点を抽出することから、マーク漏れが無くなり、ブロック図の品質が向上した。4.開発の成果と今後の展開ブロック図エディタの適応成果を以下に示す。(1)計装制御システムエンジニアリングの効率化プラントメーカ及び計装メーカが実施する計装制御システムのエンジニアリングを効率化できた。特に、制御装置向け制御プログラム生成作業では、手戻り発生の抑制による効率化も図れた。今後、計算機向け制御プログラム生成機能も開発し、さらなる効率化を進める。(2)アウトプットの品質向上ツール機能を使用したデータの反映により、展開の漏れ及び誤りを防止した。ブロック図及び制御プログラムの品質が向上し、顧客の満足度が向上した。今後は、発電プラントだけではなく、他のシステムにも適用し、機能拡充を図る予定である。5.むすび本開発遂行にあたり、貴重な御意見、御指導をいただいた関係者の方々に深く感謝申し上げる。(2) 変更点自動抽出機能本機能は、改定前後のブロック図データを比較し、変更点を自動で抽出する機能である。抽出した変更点にマークを付け、強調した状態で表示・印字が行える。ブロック図エディタ適用前は、変更点が台帳で管理されており、印刷後に手作業でマークされていた。ブック図エデタ適の、変更点抽出フローを図 13に示す。図 13. 変更点抽出作業の効率化(a) 変更点抽出作業の効率化変更点抽出機能により、機械的に変更点が抽出でき、効率化できた。(b) マーク漏れの排除機械的に変更点を抽出することから、マーク漏れが無くなり、ブロック図の品質が向上した。4. 開発の成果と今後の展開ブロック図エディタの適応成果を以下に示す。(1) 計装制御システムエンジニアリングの効率化プラントメーカ及び計装メーカが実施する、計装制御システムのエンジニアリングを効率化できた。特に、制御装置向け制御プログラム生成作業では、手戻り発生の抑制による効率化も図れた。今後、計算機向け制御プログラム生成機能も開発し、さらなる効率化を進める。(2) アウトプットの品質向上ツール機能を使用したデータの反映により、展開の漏れ及び誤りを防止した。ブロック図及び制御プログラムの品質が向上し、顧客の満足度が向上した。今後は、発電プラントだけではなく、他のシステムにも適用し、機能拡充を図る予定である。5. むすび本開発遂行にあたり、貴重な御意見、御指導をいただいた関係者の方々に深く感謝申し上げる。執筆者紹介写真(JPEG) 末次 満 スエツグ ミツル1992年入社。火力発電所向け制御装置及びプラント計算機システムのソフトウェア開発に従事。現在、神戸事業所技術第1部発電計算機システム課。適用前 適用後①ブロック図を変更する。変更箇所は台帳に記録する。②ブロック図を印刷する。③台帳を参照し、印刷したブロック図に対し、変更箇所に手作業でマークを付ける。手作業によるマーク例①ブロック図を変更する。②改定前後のブロック図データを、機械的に比較する。変更箇所に、自動でマークが追加される。改定作業を開始する③ブロック図を印刷する。ブロック図エディタによる自動マーク例図13.変更点抽出作業の効率化執筆者紹介末次 満 スエツグ ミツル1992年入社。火力発電所向け制御装置及びプラント計算機システムのソフトウェア開発に従事。現在、神戸事業所技術第1部発電計算機システム課。