このページの本文へ

ここから本文

がん遺伝子解析サービス

プレシジョン検査(PleSSision®検査)
医療関係者様向け

がんゲノム医療に必要な
がん遺伝子解析サービスを提供

がんの薬物療法は、「疾患ごとに薬を処方する」時代から「遺伝子ごとに薬を処方する」時代へ。
三菱電機ソフトウエアは、がん治療に携わる医療機関向けにがん遺伝子解析サービスを提供することで、精密医療を支援しています。


がんゲノム情報を臨床現場で活用しませんか?

がんゲノム情報を臨床現場で活用

当社では、2014年よりiPS細胞の安全性評価のゲノム解析に関わり、その技術を応用して2016年より大学病院に対して、がんゲノム検査に適用したがん遺伝子解析サービスの提供を開始しました。従来、日本国内で展開されていた多くのがんゲノム検査は、米国にて解析を実施していましたが、当社のがん遺伝子解析サービスによって、すべての工程を国内で完結できるようになりました。

さらに、2017年7月からはゲノムシーケンスまでの工程を国内の検査会社と研究所に委託する連携体制を構築し、病院側がラボを持たなくても検査ができる体制を整えました。現在、慶應義塾大学病院をはじめとする国内の複数の医療機関にて「PleSSision検査」として、当社の技術を用いた「がん遺伝子検査」が実施されています。

三菱電機ソフトウエアの「PleSSision」検査

がん遺伝子解析の流れ

1DNA抽出・シークエンス

  • がん組織としてFFPE、正常細胞として血液(Paxblood)を準備してください。
    当社提携の衛生検査所が指定する集荷(検体回収)業者が、検体の回収に参ります。

2解析パイプライン・レポート作成

  • 提携のシークエンスセンターで遺伝子配列を解読し、当社のデータセンターにてレポート(変異解析レポート)を作成します。

    変異解析レポート例

    実際の症例を示すものではありません。

    • 変異解析レポート例

3エキスパートパネル支援

  • 委託元医療機関が実施するエキスパートパネル( Cancer Genomic Board)の開催をご支援します。
    エキスパートパネルにおいては解析を担当した当社エンジニアが参加し、技術的な質問にお答えします。

    カンファレンスシート例

    実際の症例を示すものではありません。

    • カンファレンスシート例

サービス提供メニュー

PleSSision Exome/PleSSision Panel

PleSSision Exome/PleSSision Panel

Exome:ヒトの全遺伝子(約2万遺伝子)を対象としたパネル検査です。
Panel:がん発症に関連した約140遺伝子に対象を絞ったパネル検査です。
遺伝子変異に加えてコピー数異常、変異負荷量の検出も行います。

PleSSision Rapid

PleSSision Rapid

がん発症に関連した約140遺伝子を対象に絞ったスクリーニング検査です。
現在は臨床研究用途に展開しています。

エキスパートパネル支援

エキスパートパネル支援

Web会議システムを活用して、会議のスケジューリング、テンプレートデータの提供などを行います。

ご用意いただくもの

PleSSision Exome検査

診療情報

・疾患名、ステージ、原発巣、病理診断名、現病変、検体採取部位、検体の種類
・がんの診療に関する臨床経過(手術、科学療法など)
・家族歴の有無(有の場合はがんの種類)


検体

がん組織※1の検体および血液(PAXgene DNA採血管2.5mL)
※1 採取後3年以内、がんの含有率30%以上(CNVを検出する場合は50%以上)のFFPE検体。詳細は以下の通り。


■手術材料の場合

① HE標本1枚+未染色標本4枚
(厚さ5㎛ ;病理組織像の確認に使用します。免疫染色用コートガラスを使用して下さい。)

②未染色標本5枚
(厚さ10㎛ ;DNA抽出に使用します。ノンコートガラスを使用して下さい。)
※2 手術材料は5x5mm角以上の大きさの検体を指します。また複数ブロックがある場合は、腫瘍量の最も多いブロックでの標本作製をお願いします

PleSSision Panel検査

診療情報

・疾患名、ステージ、原発巣、病理診断名、現病変、検体採取部位、検体の種類
・がんの診療に関する臨床経過(手術、科学療法など)
・家族歴の有無(有の場合はがんの種類)


検体

がん組織※1の検体および口腔粘膜擦過検体(当日外来にて綿棒で軽く口腔内を擦過します)または約3-7ml程度の採血
※1 採取後3年以内、がんの含有率30%以上(CNVを検出する場合は50%以上)のFFPE検体。詳細は以下の通り。


■生検組織の場合

① HE標本1枚+未染色標本4枚
(厚さ5㎛ ;病理組織像の確認に使用します。免疫染色用コートガラスを使用して下さい。)

② パラフィンロール
(厚さ10㎛ ;DNA抽出に使用します。5-6枚まとめてチューブに入れて下さい。)


■手術材料の場合※2

①HE標本1枚+未染色標本4枚
(厚さ5㎛ ;病理組織像の確認に使用します。免疫染色用コートガラスを使用して下さい。)

②未染色標本5枚
(厚さ10㎛ ;DNA抽出に使用します。ノンコートガラスを使用して下さい。)
※2 手術材料は5x5mm角以上の大きさの検体を指します。また複数ブロックがある場合は、腫瘍量の最も多いブロックでの標本作製をお願いします

プライバシーポリシー

患者様の氏名や検査結果など、個人を特定できる情報が漏洩することのないよう、個人情報の取り扱いには十分に配慮致します。

個人情報保護について

医療関係者様からお寄せ頂くご質問

  • サンプルをお送り頂けば、DNA抽出から解析レポート作成まで弊社で実施可能ですので、大掛かりな準備は不要です。提出した解析レポートについてCancer Genomic Boardと呼ぶWeb会議を開催し、解析レポート内容の説明を行いますが、そのWeb会議用の機器(普通のパソコン、Webカメラ、マイク)をご準備頂く必要がございます。

  • 弊社で実施させて頂く作業範囲によって契約が異なります。大きくは、(1)DNA抽出、(2)シークエンシング、(3)データ解析の3つの作業フェーズがあり、(1)~(3)まで、(2)および(3)、(3)のみの3つの契約パターンがございます。例えば院内にラボをお持ちで、(1)と(2)をラボで実施される場合は、(3)のみを当社で実施させて頂く契約となります。詳細につきましては、お問合せ下さい。

  • 全ての固形がんが対象になります。

  • がんと診断された方を対象にしております。がんに罹患しているかどうかのリスク診断(スクリーニング、検診)は出来ません。

  • 遺伝性腫瘍に関する遺伝子変異の結果もレポートします。

  • 検体受領後、最短2週間程度でレポート作成まで行います。その後Cancer Genomic Boardを実施の上、解析結果のお引き渡し致します。

  • ゲノム解析やデータ解析はすべて日本国内で実施しており、堅牢性を高めるため、病理検査やシークエンスを実施する提携機関とはセキュアな閉鎖系ネットワーク(IP-VPN)で接続しております。また当社内においても社内ネットワークとは独立した専用のネットワーク内で解析をしております。解析の運用においては、データ解析は自動化され、データの取り違いやコンタミネーションの検出も含めた信頼性の高い解析結果を提供できる環境になっております。

  • 解析システムにおいては、臨床情報は匿名化して取り扱われます。また個人識別符号であるゲノム配列情報は法令に従い、個人情報として厳重に管理運用しております。なお弊社は、日本工業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム—要求事項」に適合し、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備している事業者として、プライバシーマークの付与が認められております。

  • 適切な方法により作製・管理されたFFPE検体から抽出されたDNAであっても、損傷度が大きい場合、解析結果が得られないことがあります。また、抽出されたDNAの品質に問題が無い場合においても本検査では約5%の割合でドライバー遺伝子変異が見つからない可能性が有ります。その場合、再生検等の処置を依頼することがあります。

ご利用医療機関

■ 北海道・東北

社会福祉法人函館厚生院 函館五稜郭病院

〒040-8611 函館市五稜郭町38番3号

医療法人社団静和会 静和記念病院

〒063-0865 札幌市西区八軒5条東5丁目1番1号

社会医療法人北斗 北斗病院

〒080-0833 北海道帯広市稲田町基線7番地5

■ 関東

東京都済生会中央病院

〒108-0073 東京都港区三田1丁目4-17

独立行政法人国立病院機構 東京医療センター

〒152-8902 東京都目黒区東が丘2-5-1

慶應義塾大学病院

〒160-8582 東京都新宿区信濃町35

聖マリアンナ医科大学病院

〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生 2-16-1

埼玉医科大学国際医療センター

〒350-1298 埼玉県日高市山根1397-1

■ 中部・北陸

浜松医療センター

〒432-8580 静岡県浜松市中区富塚町328

社会医療法人厚生会 中部国際医療センター

〒505-8510 岐阜県美濃加茂市 健康のまち一丁目1番地

金沢医科大学病院 ゲノム医療センター

〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1-1

金沢大学附属病院

〒920-8641 石川県金沢市宝町13-1

■ 近畿

兵庫医科大学病院

〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1

■ 中国・四国

広島大学病院

〒734-8551 広島市南区霞1-2-3

山口大学医学部附属病院

〒755-8505 山口県宇部市南小串1-1-1

■ 九州・沖縄

福岡大学病院

〒814-0180 福岡市城南区七隈7-45-1

長崎大学病院

〒852-8501 長崎県長崎市坂本1丁目7-1

宮崎大学医学部附属病院

〒889-1692 宮崎県宮崎市清武町木原5200

社会医療法人博愛会 相良病院

〒890-0833 鹿児島県鹿児島市松原町3-31

鹿児島大学病院

〒890-8520 鹿児島県鹿児島市桜ヶ丘8-35-1

導入事例インタビュー

がんゲノム医療に必要ながん遺伝子解析サービスを提供
病理医と連携し、一貫した精度管理が可能です

ゲノム情報に基づいた個別化医療により、従来の“疾患で薬を処方する”時代から、“遺伝子で薬を処方する”時代になりつつあります。特にがん領域では、患者さんごとに治療効果と安全性を最適化できる治療薬を選択する精密医療により、効果が期待できない抗がん剤の副作用回避とコスト削減が期待されています。
精密医療の実現のために、当社と共同開発したがん遺伝子検査について、慶應義塾大学医学部 腫瘍センター ゲノム医療ユニット長の西原広史先生にお話を伺いました。

導入事例インタビュー

慶應義塾大学 医学部
腫瘍センター ゲノム医療ユニット長 教授

西原広史先生


インタビュー動画を見る

わずか数日で、100~200ものゲノム解析が可能に

—西原先生の、現在の取り組みを教えてください。

西原先生 私はもともと病理医をしており、基本的にはがんの病理診断がメインです。がんができる原因、浸潤転移のメカニズム研究やがんの新しい治療法・診断法の開発など基礎研究がベースでした。ただ、ここ数年はゲノム診断に特化して仕事をしておりまして、個別化医療ができるシステムをつくるのが今の目標です。

—個別化医療に関心を持つようになったきっかけは何ですか?

西原先生 個別化医療への関心は、病理の仕事をやりながらもずっと持っていました。7~8年前に免疫染色による個別化診断にも取り組み始めたのですが、ひとつの遺伝子を調べるだけでも膨大な時間がかかり、臨床で使うのは難しいと感じていました。転機が訪れたのは4~5年前。一緒に仕事をさせていただいていた病院で、次世代シークエンサーを購入する機会に恵まれたのです。それまで数週間かけて1つの遺伝子を解析していたものが、わずか数日で100~200もの遺伝子解析が可能になり、私の中で大きなパラダイムシフトが起こりました。その頃は世の中でもちょうど遺伝子を調べて個別化診断をするという方向性が示された時期だったので、その時から本格的にゲノム解析による個別化医療に取り組み始めました。

遺伝子を解析し、患者様に合った治療薬をピンポイントで提供

—「がん遺伝子検査(PleSSision検査)」とは、どのような検査ですか。

西原先生 「がん遺伝子検査(PleSSision検査)」とはPathologists edited, Mitsubishi Space Software supervised clinical sequence system for personalized medicineの略語で、がん患者さんの腫瘍から採取した遺伝子を調べ、患者さん一人一人の遺伝子異常に合わせた治療法を提供するための遺伝子パネル検査です。従来の抗がん剤治療では、がんを発症した臓器別の抗がん剤を処方してきました。しかし近年、たとえ同じ臓器のがんでも、患者さんごとに原因となる遺伝子異常には違いがあり、それによって効果的な薬も異なることが分かったのです。
当検査では次世代シークエンサーを用いて160の遺伝子を解析し、がんの原因となったドライバー遺伝子を特定します。それによって患者さんのがんに合った治療薬の情報を遺伝子レベルで提供することが可能になるのです。

—どのような方が検査を受診していますか。

西原先生 これまで200名以上の方が受診されましたが、うち80%は標準治療が終わった方です。がんの内訳としては大腸がん、すい臓がんの方が圧倒的に多く、次に乳がんや胃がんの方。その他多種多様ながん患者さんが受診されていますが、白血病や悪性リンパ腫など血液系のがんに関しては有効な治療法を提示できる可能性が低いため、基本的には固形がんへの有効性が高い検査になります。

病気を理解することで
患者と病院側、双方の戦略的な治療選択が可能に

—患者さんにとってのメリットを教えてください。

西原先生 患者さんにとっての一番のメリットは、自分の病気に対する理解が深まるという点です。ほとんどの患者さんは、なぜ自分ががんになったのか、何が悪いのかをわからないままに治療をしています。しかし検査によって遺伝子異常を特定し、因果関係が説明できるようになれば、より適切な治療の選択ができる。今後新薬が開発されたとしても、自分の遺伝子異常が理解できていれば、新薬が自分にとって有効かどうかの判断が可能になり、効果の期待できない薬の副作用を回避することにつながります。中には遺伝子異常に対して有効な薬を提示できない患者さんもいますが、「最先端の検査を受けた結果、それでも有効な薬がないのであれば仕方がない」「残された時間を有意義に使う決心がついた」とご自分の状況を受け入れ、納得して頂けています。
基本的にはデメリットのない検査になりますが、時には遺伝子異常に見合う治療薬が提示できない場合もありますので、自分の病気を理解するための検査であるということ、治療薬がない可能性もあることを正しく患者さんに伝え、理解を得た上で検査に入ることが重要です。

—医師やコメディカルにとってはどんなメリットがありますか。

西原先生 主治医にとっては、手探りではなく戦略的に治療を進めていける点が大きなメリットになります。従来の治療では抗がん剤を処方する際、なぜその薬を処方するのかを説明することができませんでした。なぜならば段階的に決まっている薬を使っているに過ぎないからです。しかし患者さんにとっては副作用の心配もあるため少しでも有効性に関する情報を聞いておきたい。ここで「がん遺伝子解析」によってドライバー遺伝子が特定できれば、遺伝子との因果関係による抗がん剤処方理由を説明できるだけではなく、今後の見通しも含めて戦略的に治療することが可能になります。
実際、何とか患者さんを救いたいが手詰まり状態になり、「この検査をすれば何かわかるかもしれない」ということで紹介される主治医の先生は多いです。そこで返ってきた患者さんの検査結果レポートを見て、有用性を実感頂けたのでしょう。ここ1年は紹介も多くなり、導入を検討される病院も増えました。また看護師や薬剤師等のコメディカルにとってもメリットはあります。がんの原因と、それに基づく治療戦略がはっきりすれば、患者さんへの対応がしやすくなります。日本ではまだ始まったばかりの医療なので、初めは自らの立ち位置や検査の意義が分からなかったという方も多いのですが、次第に検査の有用性や、最先端の医療に携わっているということを実感したという声を聞いています。

日本人の遺伝子に合った、間口の広い高精度解析が可能

—他の遺伝子パネル検査との違いは何ですか。

西原先生 「がん遺伝子解析サービス」が他の遺伝子パネル検査と大きく違うのは、プレアナリシス段階から検査結果の解釈まで一貫して、病理医がしっかりとした精度管理を行っているという点です。通常の外注検査を行っている施設では病理医が検査に関与しないため、あらかじめ「がん細胞含有率が50%以上の検体でなければならない」という基準を一律で設けます。そうなると基準に満たない人は検査を受けることができません。
その点、病理医が関与する「がん遺伝子検査」では、仮にがん細胞が5%しかない検体であっても、その情報を病理医が解析担当者に伝えることができます。そうすれば解析を行う側も、5%しかがん細胞がないことを勘案した上で解析ができるのです。今まで解析不能とされてきた患者さんでも、「がん遺伝子解析サービス」なら解析ができるかもしれないという点。これが一番大きなメリットです。

—三菱スペース・ソフトウエア*との、協業はどうでしたか?

西原先生 次世代シークエンサーさえあれば、一度にたくさんの遺伝子情報を得ること自体は難しいことではありません。ただ、数ある遺伝子変異の中で、どれががんに直接影響を及ぼしているのかを判断することは非常に難しい。そこで重要になってくるのがバイオインフォマティクスという研究分野になります。しかし実際に臨床で使うためには、判断の精度はもちろんスピードも要求される。研究結果が半年後に出るのでは間に合わないのです。それに対応できるチームとして紹介されたのが三菱スペース・ソフトウエア*のバイオインフォマティクスチームでした。
私が最も感銘を受けたのは、三菱スペース・ソフトウエア *のバイオインフォマティクスチームは非常にマンパワーがあるという点。診療体制の中では、時には解析を1日で行うなど、非常に急いで頂くこともあります。三菱スペース・ソフトウエア*の方にはチームで対応して頂いているので、一人が対応できなくても、チーム内の他の誰かがカバーしてくれる。非常に迅速に対応してもらっています。また、iPS細胞の解析をやってこられたチームなので、人の遺伝子を調べ、疾患データベースと照らし合わせるスペシャリストが揃っていることも大きい。以前他の複数のバイオベンチャーと連携したこともあるのですが、迅速な対応から精度管理の正確性、全てにおいて三菱スペース・ソフトウエア*は突出していました。マンパワーと経験。この2点を兼ね揃えたチームがいたからこそ、迅速で精度の高い検査を実現することができたと感じています。

*「三菱スペース・ソフトウエア」はインタビュー当時の旧社名です。

意識改革と、病理医・遺伝医療の専門家の確保が重要

—導入に際し、必要なことは何ですか。

西原先生 大まかに言うと3つあります。まずは遺伝子検査に基づく「がん遺伝子解析」の意義を、臨床側がきちんと理解していること。それがないと、いくら導入しても実際には検査が実施されないということにもなりかねません。
従来の抗がん剤治療では、がんとなった臓器別に薬を処方してきたため、遺伝子異常に基づいて本来他の臓器に用いてきた抗がん剤を使用するということは頭の切り替えが必要になります。遺伝子パネル検査に対して懐疑的な医師がいることも事実です。そういった方たちが遺伝子を検査することの意義を理解し、前向きに「がん遺伝子解析」を実施していくための意識改革が必要です。
次に、病理医が関与して精度管理ができる病院であることが望ましいです。多数の遺伝子を調べる遺伝子パネル検査は、病理検体の品質保証や事前の病理診断が非常に重要です。当検査では病理医のいる衛生検査所と組んでいるので、もし病理医がいなくてもカバーできるようにはしていますが、病理検体の取扱いという点でいえば、病理の知識がある人がいたほうがスムーズです。
3つ目に、遺伝に関する専門家がいる病院であるということです。当検査の特徴の一つでもあるのですが、精度管理のために正常な組織として白血球由来の遺伝子も調べます。この過程で、遺伝性のがん(家族性腫瘍症候群)であることが判明することがあります。がんの体細胞変異/遺伝子変異の判断がつくということはメリットでもありますが、非常にデリケートな話題でもあります。もし二次的に出てきた遺伝性腫瘍の情報が誤って患者さんに伝えられてしまえば、患者さんだけでなくそのご家族をも不安に陥れてしまうことになります。そうならないように、遺伝医療の専門家が関与できる病院である必要があります。

—導入の手順を教えてください。

西原先生 導入の検討から実際に検査がスタートするには最低でも3~4か月程かかります。一般的にはまず病院の経営層、並行して倫理委員会に上程することになります。これらの会議に通れば、次は具体的な対応プロセスを構築していく必要があります。患者さんへの説明方法や病理検体の入手方法、検体の取扱いや治療方針の立て方を細かく決めていきますが、こちらに関しては我々の方でサポートが可能です。
なお、見学も受け付けています。現場の臨床医から遺伝カウンセリングの担当者、先日は政府関係者の方も来られました。一度見学しただけではなかなか難しいところもあると思いますので、まずは患者さんへの外来対応、そして検査結果を基にしたカンファレンスと必ず2回来て頂いています。それでも「実際に自分たちでできるのか」と不安になる方が多いと思いますが、カンファレンスに関してはインターネット会議での参加が可能です。そこでたくさん症例を見ればイメージもつかみやすくなり、スムーズに導入できるかと思いますので、まずは一度ご相談頂ければと思います。

今後は全ゲノム解析を見据えながら、公的医療制度を使った診療体制に

—今後の展望を教えてください。

西原先生 この数年でも、オプジーボをはじめ様々な新薬が出てきています。そういった新薬に対応するためには、検査システムのアップデートが必要になります。現在は160の遺伝子を解析していますが、ゆくゆくは人がもつおよそ23,000全ての遺伝子を一度に解析するホールエクソーム解析が視野に入ってくるはずです。全ゲノムを調べることで診断精度を上げていくことが期待されます。
また、現在「がん遺伝子解析サービス」は自由診療となっています。薬に関してもそうで、肺がんの患者さんに乳がんの薬が効くことが分かっても、保険で認められていないため患者さんにとっては金銭面の負担が大きい。本来プレシジョン・メディシンは、欧米ではがんの診断初期に受けるものです。
自分に合った抗がん剤がどのようなものなのかを見極めた上で、最初から一番効果的な薬を使用するのが一般的ですが、残念ながら今の日本の保険医療制度では厳しい。今後1人でも多くの患者さんが自由にがん遺伝子検査を受けられるよう、何かしらの公的医療制度を使った診療体制にしていきたいです。

慶應義塾大学医学部 腫瘍センター・ゲノム医療ユニット。
西原先生はここで日々、がんの個別化医療発展に取り組まれています。

ビデオアーカイブ

当社で承認した特定医療従事者様向け限定配信アーカイブです。
一般の方、非居住者の方、非承認の方のご視聴は出来かねますのでご理解のほど宜しくお願い申し上げます。
なお、医療従事者の方(非承認)でご視聴を希望される場合、当社の承認が必要になりますのでメールにてお問い合せ願います。
(ご視聴を希望されても否の場合がございますこと、また、ご説明などできかねますことをあらかじめご了承願います)

※三菱スペース・ソフトウエア株式会社(略称MSS)は、経営統合により2022年4月1日に三菱電機ソフトウエア株式会社に社名変更しました。​
一部の動画コンテンツ中に三菱スペース・ソフトウエア株式会社(略称MSS)の表記がございますが、 三菱電機ソフトウエア株式会社に読み替えてご覧下さい。

【期間限定】「PleSSisionシステム開発5周年記念シンポジウム」オンデマンド配信

「PleSSisonシステム開発5周年記念シンポジウム(2023.3.24)」より、期間限定でオンデマンド配信致します。
 ※予告なく配信・視聴を停止させて頂く場合がございますのでご了承下さい。

慶應-MESW; PleSSisionの軌跡 PleSSisionシステムの今後の展開

プログラム1

慶應-MESW; PleSSisionの軌跡
 PleSSisionシステムの今後の展開

  [約25分]

西原 広史

慶應義塾大学医学部
腫瘍センター ゲノム医療ユニット長 教授
(医学博士 病理専門医)

PleSSisionシステムの臨床的有用性

プログラム2

PleSSisionシステムの臨床的有用性

  [約35分]

林 秀幸

慶應義塾大学医学部
腫瘍センター ゲノム医療ユニット
統括マネージャー・特任講師

(医学博士 総合内科専門医 がん薬物療法専門医・指導医

 消化器病専門医 消化器内視鏡専門医)

全エクソン、全ゲノム解析におけるPleSSisionシステム

プログラム3

全エクソン、全ゲノム解析における
PleSSisionシステム

  [約40分]

中村 康平

慶應義塾大学医学部
腫瘍センター ゲノム医療ユニット 特任助教

(医学博士 産婦人科専門医 臨床遺伝専門医)

PleSSisionシステムにおけるバイオインフォマティクス

プログラム4

PleSSisionシステムにおける
バイオインフォマティクス

  [約25分]

谷嶋 成樹

三菱電機ソフトウエア株式会社
通信機事業所 バイオインフォマティクス部 部長

Video 1 [約19分]

PleSSision Exome症例のご紹介

PleSSision Exomeにより治療推奨できた症例(乳がん、前立線がん)をご紹介します。

Video 2 [約15分]

PleSSision Exome 検査の流れ

PleSSision Exome検査をされる場合の院内手続きの1例(患者さん受付からエキスパートパネルまで)を実行フローチャートを用いてご紹介します。

Video 3 [約32分]

PleSSision Score

エキスパートパネルでの論議内容を点数化したPleSSision Scoreについてご紹介します。

Video 4 [約45分]

PleSSision検査/1万人ゲノムへのいざない

PleSSision検査のデータベース蓄積によって見えてきたことなどについてご紹介します。

Video 5 [約38分]

CBI学会2020_MSSアーカイブ

CBI学会2020オンライン大会(2020年10月27日開催)での弊社(バイオ部)講演のご紹介です。*CBI学会事務局よりご許諾およびご提供いただきました録画のアーカイブです。

Video 6 [約9分]

PleSSison×LabDroidまほろ

ロボティック・バイオロジー・インスティテュート株式会社製“LabDroid_MAHOLO”で高品質を実現。*RBI社のご許諾をいただき共催した動画のアーカイブです。

Video 7 [約48分]

PleSSision Exome 1万人ゲノム現状報告

PleSSision検査による「1万人がんゲノムデータを構築する研究」の現況報告会。(2021年2月4日)

Video 8 [約45分]

がんゲノム検査におけるPleSSisionプラットフォームの有用性

「がんゲノム検査におけるPleSSisionプラットフォームの有用性」について、慶応義塾大学医学部 西原先生にご講演いただきました際の録画のアーカイブです。(2021年2月10日)

Video 9 [約46分]

免疫チェックポイント阻害薬と遺伝子検査

「免疫チェックポイント阻害薬と遺伝子検査 ~PleSSision-Exomeの有用性を含めて~」について、慶応義塾大学医学部 林先生にご講演いただきました際の録画のアーカイブです。(2021年2月10日)

Video 10 [約37分]

「がん遺伝子解析サービス」を利用したがんゲノム医療の実装

「がん遺伝子解析サービス」を利用したがんゲノム医療の実装について、聖マリアンナ医科大学 砂川先生にご講演いただきました際の録画のアーカイブです。(2021年3月31日)

Video 11 [約31分]

がんゲノム医療のためのカスタムパネルシークエンス

「がんゲノム医療のためのカスタムパネルシークエンス=PleSSision Platformの可能性=」について、鹿児島大学 谷本先生にご講演いただきました際の録画のアーカイブです。(2021年3月31日)

Video 12 [約68分]

がんゲノム医療セミナー(慶應主催)

「がんゲノム医療の現状と今後の課題」について、慶應義塾大学医学部 西原先生にご講演いただきました際の録画のアーカイブです。(2021年4月27日)

Video 13 [約45分]

第80回日本癌学会学術総会_共催セミナー

第80回日本癌学会学術総会共催セミナー
座長:慶應義塾大学医学部大家教授、演者:慶應義塾大学医学部西原教授
ご講演テーマ:慶應のがんゲノム医療の軌跡診療科横断的スクリーニング がんゲノム検査PleSSision-Rapidが教えてくれたもの

プレシジョン検査
についてのお問い合わせ

お気軽にお問い合わせ・ご相談ください

電子システム事業統括部
通信機事業所 営業部

06-4961-8825

ml_plessisionmesw.co.jp

受付時間:9時~17時(土日祝祭日および当社休業日を除く)

プレシジョン検査
についてのお問い合わせ

上のボタンを押すと問い合わせフォームが立ち上がります。ご利用ください。