宇宙・通信
リモートセンシング画像ソリューション
三菱電機ソフトウエアは、地域社会の課題解決のため、リモートセンシング画像を用いた各種ソリューションを提供しています。
概要
人工衛星や航空機(飛行機・ヘリ・ドローンなど)に搭載されたイメージセンサ(マルチバンド光学センサ、合成開口レーダ(SAR)、ハイパースペクトルセンサ)により観測された画像データを用いて、校正・解析・可視化・シミュレーション技術により、課題解決に貢献するソリューションを提供しています。

特長
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地域社会の課題解決の支援
自治体、共同体、企業が抱える課題の解決を支援するため、広域を定期的に観測する衛星画像を用いて、各種指標や物理量を推定し、地図上に重畳表示できるデータとして提供するとともに、継続的にモニタリングし状況の変化を通知します。
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観測データの品質向上
観測データの誤差解析を行い、校正や補正方法の検討と適用後の評価を行うことにより、観測データの質の向上に貢献します。
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衛星データ利用アドバイス
各種センサの解像度、波長、観測範囲、観測周期、即応性、価格を考慮し、課題解決に最適なデータの選定を支援します。
ユースケース
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浅海域モニタリング(水深約15mまで)
- ★藻場
- 藻場の有無および褐藻/海草を推定
- ☆漂砂
- 海中を漂う砂を検出し、沿岸域の流れを可視化
- ★水深
- 漁港の浚渫や砂浜の保全を目的とした、水深やその変化の推定
- ★海岸線
- 砂浜の保全を目的とした汀線位置の変化の推定
- ☆漂流物
- 海面の船や漂流物の検知
陸域モニタリング
- ★農地
- 農作物の管理状況(休耕地、作付、中干など)を推定
- ★森林
- 植生指標NDVIや光合成量SIFを計測し、樹種や活性度を推定
- ☆河川
- 堤外地の水域を判別し、中洲など堆砂状況を推定
- ☆湖沼
- 自然池やダム湖などの汀線を検出し、貯水量の変化を推定
- ★土地被覆
- 画像上から家屋、道路、ソーラーパネルなどを判別
- ★変化検知
- 2時期の画像から変化を検出し、その変化内容(森→宅地など)を推定
- ☆地盤変動
- 埋立地や消波工の沈下、山地の隆起など、長期の変動トレンドを推定
- ☆浸水域
- 河川氾濫時の浸水域と水量を推定
大気モニタリング
- ☆ガス排出
- 航空機搭載ハイパースペクトルセンサにより、工場や道路付近のガス(CO2,CH4,NO2など)の量を推定
※★はAIを利用しています。
浅海域モニタリング:藻場
人光学衛星画像から、沿岸域の藻場の検出や藻種(海藻・海草)の識別を行う。
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藻場は自然現象または人為的な影響を受けて絶えず変化し、保全対策を立てる上で、これらの変化をいち早く感知することが重要です。また、海洋生態系(藻場・干潟等)によって吸収・貯留される炭素(ブルーカーボン)が注目されるようになったことから、カーボンニュートラル達成に向けた有力な取組として、藻場の保全・回復の取組みには大きな期待が寄せられています。
藻場の検出に衛星画像を用いることで、実地調査(航空画像・潜水・船上調査)によるモニタリングに対し、広域を高頻度で調査できるようになります。
当社では、衛星画像から得られる各種指標を用いて画像内を領域に分割し、各領域を機械学習を用いて判別することで、藻場の検出や種類の識別を行います。
浅海域モニタリング:水深
光学衛星画像から、浅海域(水深約15m以浅)の水深とその変化を推定する。
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水中を進む太陽光は波長によって吸収される度合いが異なります。この原理を利用し、海底から反射する光から水深を推定することが可能です。
漁港付近や海岸沿いの水深を計測し、その変化をモニタリングすることで、漁港に堆積する砂の浚渫のための予備調査や、砂浜の保全や監視のために利用することができます。
音響探査などの実地測量ほどの精度はありませんが、変化を継続的に追うことで、いち早くその変化に気づくことができます。
浅海域モニタリング:漂砂
光学衛星画像から、海中を漂う砂を識別し、沿岸域の流れを可視化する。
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港湾施設の周辺の河口や砂浜からの漂砂が発生することにより、漁港への砂の堆積や砂浜の堆積浸食を防ぐため、定期的な浚渫を行うことで保全が行われています。浚渫の計画を立てたり、浚渫の頻度や量を軽減するために堤防の建設を計画したりする際、その漂砂の流れや波浪との関係を明確にすることが重要です。
衛星画像から漂砂の流れを可視化し、波浪データとの相関を解析することで、沿岸域の流体シミュレーションを補助する客観データとして利用することができます。
浅海域モニタリング:海岸線
光学衛星画像から、汀線位置とその変化を推定する。
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自治体では海岸線(汀線)の位置を測量し、サンドリサイクル・浚渫等の計画・実施に役立ちます。多くの場合、年1回程度の実地計測が実施されていますが、衛星画像であれば広範囲を高頻度に計測することが可能になります。
光学衛星画像を用いて汀線の変化を推定し、海岸浸食の兆候をより高頻度に提供したり、波浪データと組み合わせることで浸食を予測するなど、計画の早期立案や対策効果の確認に役立ちます。
浅海域モニタリング:漂流物
SAR衛星画像から、海上の船舶や漂流物を検出する。
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衛星は広大な海域の監視に適しており、船舶・漂流物(流氷・軽石・流出オイル)など、その用途が広まりつつあります。衛星画像から検出した船舶とAIS信号を照らし合わせて不審船を識別したり、港湾への出入りや運河を航行する船舶の数から経済指標を計算するなど、画像+αの付加価値を提供します。
陸域モニタリング:農地
光学衛星画像およびSAR衛星画像から、圃場の状態を推定する。
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日本の農業も小さな圃場を統合整理し、大規模化を行うことで、生産効率を上げる試みが進んでいます。一方、生産者が管理する面積が広がり、その労力が負担となっています。
衛星画像から得られる各種指標を長期的にモニタリング・解析することで、農作物の作付状況・生育状況・土壌の状態の推定を行います。圃場の状態を可視化して、自治体を含めた農業従事者様へ提供することで、農作物の収量・品質の高位安定・管理コストの削減などに役立てることができます。
陸域モニタリング:森林(伐採)
光学衛星画像およびハイパースペクトルセンサ画像から、森林の特性を推定する。
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森林は、様々な種類の植物が密集することで形成されます。森林を撮影した衛星画像から、植生指標(NDVI)や光合成量(SIF)などの様々な指標値を推定できます。
また、時系列に同じ地点を撮影した画像を見ることで、これらの指標値の変化を確認し森林伐採や植え替え、成長度合いなどを推定することもできます。
さらに、2時期の同じ地点を撮影した衛星画像から、森林伐採された領域を当社のAIを用いて推定するといったソリューションの開発・提案も行っています。
陸域モニタリング:河川
光学衛星画像およびSAR衛星画像から、河道や砂州を検出しその変化を推定する。
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急激な増水による災害を防ぐため、河川の定期的な監視が必要とされています。
衛星画像から、河道の変化・河口付近の堆砂の状況・砂州の形成・堤外地の樹木群の繁茂状況を推定することで、定期的な状況報告や急激な変化に対するアラート発報を行うことにより、適切なタイミングでの巡視や定点カメラの設置されていない広域の監視が可能となります。
陸域モニタリング:土地被覆
光学衛星画像から、土地の利用状況(土地被覆)を分類する。
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深層学習(CNN, Transformer)等の手法を用いて画素単位で特定の土地被覆であるかどうかを推定し、その確率が閾値より高い画素を識別することで、土地被覆の分類を行います。
建物など人工物を検出対象とすれば異動判読に、自然物(森林、雪氷、水域など)を検出対象とすれば面積の推定や土地利用、農地(水田、畑など)であれば作付け面積の把握などの用途があります。
陸域モニタリング:変化検知
2時期の光学衛星画像から土地被覆の変化を検出し、その変化種別を推定する。
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まず、衛星画像の色(画素値)の変化量が似ていて、かつその位置も近い画素を1つのグループにまとめることで変化箇所を検出します。
続いて、検出箇所内の平均画素値を特長量として、閾値処理、機械学習(ランダムフォレスト等)、深層学習(CNN等)等の手法を用いて対象の土地被覆であるかどうか識別します。対象の変化種別の持つ特長に合わせ、より高精度に識別するように手法を組み合わせて処理を行います。
衛星画像の解像度で視認できる変化であれば、様々な土地被覆に応用できる技術です。(適用事例:ソーラーパネルの設置、森林伐採、積雪)
陸域モニタリング:地盤変動
SAR衛星画像から、埋立地や消波工の隆起/沈降を推定する。
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2時期のSAR衛星画像を干渉させ、反射波の位相の違いから衛星と地表面の距離の変化を計測できます。この干渉SARを用いて地表面の隆起/沈降を推定することで、埋立地や消波工の位置の変化を推定し、港湾施設の適期での保守を支援します。
可搬型計測器やドローン計測は精度が求められる計測に適していますが、衛星は長期的かつ定期的なモニタリングに適しています。
陸域モニタリング:浸水域
SAR衛星画像から、水域を検出する。
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集中豪雨など急激な河川の増水に伴う、河川の氾濫や堤防の越水による災害が発生した際、被害範囲および排水量の特定が必須となります。
雲を透過するSAR衛星により被災直後に観測を行い、画像解析により浸水域を特定するとともに、標高から水量を推定します。
浸水域と誤判定しやすい水田についても、長期のモニタリングを併用することで、判定域からの除去が可能です。
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大気モニタリング:ガス排出
ハイパースペクトルセンサ画像から、工場や道路付近の温室効果ガスの量を推定する。
カーボンニュートラルを実現するためには、温室効果ガスの排出と自然界による吸収を評価する必要があります。
航空機に搭載したハイパースペクトルセンサの観測により、CO2やメタン, NO2などの温室効果ガスの排出量や植物の光合成を表すSIFを推定します。
観測対象となるガスの種類によって大気に吸収される波長が異なるため、観測したスペクトルから放射伝達モデルやDOAS法といった数理モデルを使用することで、その濃度を求めることが出来ます。
また、人工衛星に比べて航空機による観測は、一般的に解像度を高くすることができ、工場や道路上など詳細な空間分布でのガス濃度推定が可能になります。
ソリューションを支える画像処理技術
要素技術 | 内容 |
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AI開発 | データ選定・ネットワーク検討・学習・評価・強化に至るAIモデル開発のすべての工程を一貫して実施 |
校正/補正 | 統計的な手法や数理モデルを用いたシミュレーションによる真値推定と誤差解析 |
オルソ化 | 地形を考慮した観測データのマッピングおよび可視化 |
DSM・3次元モデル生成 | フレームセンサや視差を持ったラインセンサの観測データからDSM(Digital Surface Model)や3次元モデルを生成 |
パンシャープン・超解像 | ・高解像度パンクロ画像と低解像度マルチバンド画像による高解像度マルチバンド画像の生成 ・畳み込みによる超解像処理 |
位置合わせ | ・GCPやタイポイントの自動検出による画像の位置合わせ ・3次元点群の位置合わせ |
撮影時のカメラ位置姿勢の推定 | 撮影された画像からのカメラ位置姿勢の推定 |
雲/雲影の判別 | 衛星画像上の雲および雲影の検出 |
模擬画像生成 | 幾何計算およびセンサモデルを考慮した模擬画像の生成 |
模擬スペクトル生成 | 気象データを考慮した放射伝達計算による模擬スペクトルの生成 |
大気補正 | 気象データを考慮した衛星画像の大気補正 |
SAR解析 | ・強度変化による地表状況の推定 ・SAR干渉解析による地盤変動の推定 ・4偏波または2偏波による地表状況の推定 |
システム・ツールの開発 | 観測データの収集から結果の出力までの大規模なシステムから簡易的なツールまで処理ソフトウェアの開発 |
校正・補正・可視化ソフトウェア 事例
衛星/センサ | 業務内容 |
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SELENE/LISM | 輝度校正・幾何補正システム |
SELENE/LISM | 月面鉱物マップ、日照日陰マップ |
LRO/DIVINER | 月面温度分布マップ |
ISS/HISUI | 校正システム |
ISS/HISUI | 校正支援 & L2処理システム |
UNIFORM-1/TIR | オルソ化システム |
ALOS-2/CIRC | オルソ化システム |
GOSAT-2/TANSO-2 | 校正支援 & 検証システム |
GOSAT-2/TANSO-2 | データ処理運用システム |
GOSAT-GW/TANSO-3 | データ処理運用システム |
ALOS/PALSAR | 干渉SAR解析 & 公開システム |
各種光学衛星 | AIを用いた変化検知 |
セスナ搭載カメラ | 高速オルソ化システム |
ヘリ搭載カメラ | オルソ化システム |
航空機搭載ハイパーセンサ | ガス濃度とSIF量推定&可視化システム |
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