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MSS技報VOL.30巻頭言
MSS 技報・Vol.30 平素から、‘MSS 技報’をご愛読いただき、誠にありがとうございます。 技術系企業にとり、「技報」はその時々に開発した技術を紹介している当社技術開発の足跡とも言うべきものです。平成元年度から発行しているMSS 技報は、当社の技術を社外の方々にもご紹介することを目的として、年に1 回のペースで号を重ねてまいりましたが、令和という新しい時代の幕開けと共に、30 号を発行するに至りました。 「インターネット」という言葉すら、まだ一般的でなかった30 年前から、今や一人一人がスマートフォンでインターネットに接続し、情報を利活用する社会になったことに、大きな時代の流れを感じます。MSS 技報は24 号よりWEB 上でのみの公開としておりましたが、今回は30 号を記念して、より多くの方々に見ていただけるよう紙媒体としても発行させていただくと共に、通常の技術紹介に加えて、当社の九つの事業分野(宇宙、防衛、通信、航空、防災・環境、ライフサイエンス、車載、公共・IT、情報セキュリティ)別に事業推移と技報の発行をロードマップで示す特集を企画し、技術をベースとした当社事業を振り返る特集を企画しました。これまでの事業の流れを振り返ると、ソフトウェア技術や解析技術、レーダ・通信技術等の基盤技術を多くの事業へ展開しながら、市場環境や顧客のニーズに応じて、新しい技術を取り込み、さらに既存技術を研鑽することによって、事業分野を拡大してきた当社の歩みを改めて認識しました。これまでの関係者の方々のご支援に心より御礼を申し上げます。 当社で展開している事業分野の中で、本号では宇宙システム、防災・環境システム、通信システム、ライフサイエンスの4分野から最新の技術トピックスを掲載します。その中で近年注目されている「AI・機械学習」の活用について触れさせていただくと共に、共通的なソフトウェア開発プロセスに関わる技術の全6件の論文を掲載します。 宇宙システム分野では、昨年度回収に成功したHTV搭載小型回収カプセルにおいて当社が担当した技術、及び宇宙機開発における機械学習の活用の可能性について示します。防災・環境システム分野では、南海トラフの巨大海溝型地震を想定した地震波伝播シミュレーションにおける機械学習の適用結果と今後の応用への展開について示します。通信システム分野では、今年度運用を開始した雨雲等を観測する気象レーダ観測処理システムの概要と通信系技術を紹介します。ライフサイエンス分野では、近年実用化に向け進展しているがんゲノム医療について、2015 年から診療に供されたがんゲノム医療、保険診療への導入に向けた流れ等を説明します。共通技術分野では、ソフトウェア開発を下支えする開発プロセスにおける当社の取組みの一端として、カルマンフィルタを用いた誤り予測技術を紹介します。 当社は、「宇宙開発で培った高度な科学技術、最先端の情報技術を駆使し、高品質・高信頼のソリューションで、未来の社会を支えます。」との企業理念の下、九つの分野で事業活動を展開しています。いずれの分野においても、高い品質と高度な専門技術を誇るシステム・ソフトウェア開発を追求してまいりました。これからも、高度で豊かな情報化社会を支えるための技術開発・ソリューション創出に取り組むことで、社会の発展に貢献したいと考えます。 本記念号で紹介できない技術も多々ありますが、当社事業と保有技術を少しでもご理解いただければ幸いです。今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、30 号(記念号)発刊のご挨拶とさせていただきます。 巻頭言 取締役社長 蒲地 安則 「30 号(記念号)発刊にあたって」