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テクノロジー

技術レポート:アーカイブ

Category:技術レポート:アーカイブ

MSS技報VOL.23巻頭言

MSS技報VOL.23巻頭言[PDFファイル]
巻頭言
技術統括部長
宮田 裕行
 MSSは会社創設以来、今年で51年目を迎えます。一口に過去50年と言っても、ソフトウェアを中心とした技術開発を核とし、先代から培ってきたその歴史には技術の積み重ねがあり、この軌跡を紹介し続けてきたのが、このMSS技報です。最初の発刊は、1989年にさかのぼり、今回で第23号の発行となりました。 当初は、宇宙/防衛システムの技術開発を中心として、三菱電機と共に、国家を支える代表的な企業としての役割からの技術紹介を掲載してきました。その後、そこで開発された技術をベースに技術領域を広げ、関連する顧客とも連携して、それぞれの時代に即した当社技術を開発、その成果を掲載してきております。例えば、現在まで続いている技術として、バイオインフォマティクス技術、防災情報処理技術、車載組込み機器制御技術等があげられます。 今回は、これらの開発技術の中から、防衛分野を除く代表的な技術紹介を行います。 テーマとして、「技術の基礎から応用まで」を掲げ、素人の方にでも分かりやすく、まずは、基礎知識を紹介し、その上で、技術内容を説明するように心がけております。 まず、宇宙分野では、国内の代表的なロケットであるH-ⅡA/H-ⅡBの制御等に使われる搭載ソフトウェア用検証試験ツールについて紹介します。基本的な試験ツールについて説明した後に、今回新たに開発した新ツールについて、その効果、工夫した点を中心に述べ、将来への課題と展望についても言及します。 次に、現在のMSSを支える代表的な技術の一つでもあるバイオ技術では、最初に、昨今、生物情報学の分野でトレンドとなっている「オミックス」と「高速DNAシーケンシング」についての基礎を解説し、当社で保有する当該技術に関連した開発/研究実績を紹介します。続いて、新規の医薬品を発見するためのプロセスである「創薬」に必要となる多種多様なデータを統合的に解析するための「創薬研究向け統合データウェアハウスシステム」を示します。 さらに、一昨年の東日本大震災以降、その需要が高まっている防災用情報システムの一環として、MSSが開発に携わった、地震による地域別の揺れやすさを見える化した「地震ハザード情報」の公開システム「J-SHIS」について、その原理と共に、IT技術的な観点からの説明を行います。 自動車に組み込む機器制御技術においては、現在、車両用電子機器に搭載されるMPU(マイコン)のソフトウェア開発において、ISO規格に基づいた標準化が進んでおりますが、その規格の概要、制定の経緯、開発に求められるもの、等を分かりやすく記述します。 最終章として、ここまでに述べたソフトウェア開発の基盤となる開発プロジェクトの管理手法において、工期の短縮を図ることなどを目的に、作業を行う人間を中心に考えた「クリティカルチェーンプロジェクトマネージメント手法」の概要、運用における注意点、課題について、説明します。 最後に、これまでの先代が築き上げられた50年の技術開発の歴史の重みを大切にしながら、次の50年に向けて、更なる研究開発とそれに伴う事業貢献に邁進して行きたいと思いますので、皆様からのご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願いします。「技術の基礎から応用まで」