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テクノロジー

技術レポート:アーカイブ

Category:技術レポート:アーカイブ

MSS技報VOL.22総括

MSS技報VOL.22総括[PDFファイル]
総括
技術統括部長
宮田 裕行
 本書をまとめるにあたり、当社で培ってきた科学技術分野の中で、その基盤となるソフトウェア技術について考察する。 技術開発の流れから見ると、創生期のソフトウェアは、ハードウェアの柔軟性を増すための制御からその開発が始まり、その後、ベースとなるハードウェアとして汎用計算機が台頭することにより、ソフトウェアとしての地位が確立してきた。その流れにおいて、当社は、三菱電機グループの一員として、創設当初から国家を支える代表的な企業としての役割を担い、国家戦略である防衛/宇宙システムの開発に携わってきており、そのソフトウェア開発の第一人者として、その使命を果たしてきた。 そもそも、ソフトウェア技術の本質とは、ある目的のために、決められた手順で手続きを実行するためのものであり、正しく、所望の性能で動作する手続きこそがソフトウェアの実態である。ベースとなるハードウェアや周囲に位置する機器と絶妙な連携を取り、任務を実行することでその評価が決まる。とりわけ、防衛/宇宙という失敗の許されない分野において、この過酷な任務を遂行することは容易なことでなく、この手続きを正しく築き上げるために、様々な基盤技術が必要となる。すなわち、その手続きが正しく動作するかどうかを検証するためのシミュレーション技術、数理的に解明するための解析技術、その手続きを効率良く、正しく作り上げるための生産性技術等である。 過去のMSS技報に掲載された論文を概観すると、当社におけるソフトウェア技術が、まずは、防衛/宇宙をターゲットとしたシステムドメイン技術とこれらを支える上記の基盤技術、それらの技術の融合、そして、他のドメインに横展開した技術として成長、発展してきたことが分かる。 今回、取り上げた各論文も、同様に巻頭言の⑴~⑶に分類すると、下記となり、 ⑴は、ロケットの軌道解析/制御技術、M&S技術、生産技術、特許技術、 ⑵は、防衛技術と宇宙利用を融合した合成開口レーダ技術、 ⑶は、これら防衛/宇宙の技術を利用したゲノム技術、地震防災、無線回線技術、 この流れに沿って進化・深化してきたものである。これらの技術が、今後のMSSを根本から支える代表的な基幹技術と言っても過言ではない。 最後に、今回のMSS技報を出版するにあたり、業務多忙の中、快く引き受けて頂いた執筆者の皆様、丁寧に査読をして頂いたレビューワーの皆様始め、関係各位に心から感謝を申し上げると共に、ますます進化・深化するMSSの科学技術に対し、更なる貢献を期待します。「科学技術分野におけるソフトウェア技術の進化・深化」