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ライフサイエンス

LabVantage

ラボラトリー情報管理システム(LIMS)「LabVantage」

膨大な情報量、複雑なワークフローを統合管理監査証跡もしっかりと残します。

概 要

LabVantageは、大学、研究所、企業の研究室や実験室、製薬工場、化学品工場などの試験・検査業務における膨大な情報と、複雑なワークフロー(方法・手順)を厳格に管理するとともに、試験・検査の信頼性、安全性、有効性などが確保されていることを実証するための「いつ、誰が、何をしたのか」、「どのデータを扱ったか」という監査証跡を記録し、統合管理する情報管理システムです。

利用シーン

試験データ、ワークフローなど
現場の膨大な情報をどのように管理していますか?

ヒューマンエラーの発生や膨大な情報の管理に、お困りではありませんか?

大量で複雑な日々のデータ管理やワークフローにおいて、ヒューマンエラーの発生や、膨大な情報の仕分け作業に伴う様々なロスにお困りではありませんか?

臨床機関/バイオバンクユーザー様
こんなことに、お困りではありませんか?

LIMSをまだ導入していない皆さまお困りではありませんか?

データの管理で困っている
  • 多数の資料を取り違えなく分注・保管・管理したい。
  • 検体数が多くなってきたので、入出庫管理が煩雑になってきた。
  • 検体は絶対に取り違えがあってはならないけど、自信がない。
  • 検体の属性データまで管理できるといいのだが・・・
業務が非効率で困っている
  • 検体をエクセルで管理するのは限界があり、手入力によるミスや転記ミスなどのリスクがある。
  • システムを導入したが、パソコン操作は苦手で・・・
情報の連携で困っている
  • ID体系をこの機会に見直したい。
  • 電子カルテ情報と検体の解析結果を連動させ効率的に管理したい。
  • 登録した検体情報がスムーズに検索できない。
  • 分析装置の測定関連データを一元的に管理したい。
法的規制への対応で困っている
  • ISOやGxPの取得を考えているが、どのように情報管理し、設備投資すればいいのか検討中である。

製薬/化学・食品系企業ユーザー様
こんなことに、お困りではありませんか?

LIMSをまだ導入していない皆さまお困りではありませんか?

法的規制への対応で困っている。
  • FDA 21CFR Part11、ER/ES指針に対応できていないので困っている。
  • GMPやPIC/S、ISOの取得を考えているが、既存のシステムでは対応していない。
  • 監査対応のための準備と確認に毎年苦労している。
情報の連携で困っている
  • 分析機器のデータを効率的に扱いたいが、生データを自動収集出来ていない。
  • LIMSと生産管理(上位システム)を連携できていないので、双方のシステム情報を確認しながら作業を進めるので面倒。

LIMSをすでに導入しているけど、
うまく運用できていない皆さまお困りではありませんか?

データインテグリティに対応できず困っている
  • データ改ざんがないかチェックしたい。
  • 監査証跡をしっかりログとして残して管理したい。
  • HPLC、GC、UV等のラボ機器に付属するコンピューターの電子記録を活用したい。
  • HPLCの生データやメソッドをバックアップしたい。
  • OOS(Out of Specifcation)の報告を行っていなかった。
  • 是正/措置をLIMSで管理したい。

機能・特長

LabVantageの機能・特長

統一されたプラットフォーム上で、サンプルや試薬、実験、手順など組織内の様々な情報管理と監視機能を統合化。また、組織ごとのニーズや規定に合わせたシステム設定を可能とし、将来の変更や拡充に対応するための機能性、柔軟性、拡張性を備えています。

臨床機関、バイオバンク系ユーザー様に役立つ、
LabVantageの機能・特長

当社は、長きにわたりゲノム解析や検体管理、試薬管理などの様々な情報管理システムを提供してきました。当社の技術者が要望をお伺いし、要件定義から試験・検査までを当社で行い、お客様のニーズにあったシステムを構築します。

サンプル、試薬、測定データ、入出庫の管理を簡単にし、
分析器との連携をスムーズにします。

バッチ管理

複数の検体を一括して管理。登録から廃棄までを一元管理し、作業を効率化します。

試験データ管理

LabVantageで各種試験データを自動で取り込み管理。自動計算、規格値による自動判定が可能になります。

SPC管理

SPC(Staticstical Process control : 統計的工程管理)専用アプリであるNWA Quality Analystとのインターフェースにより、SPC管理が可能に。視覚的に分かりやすくグラフ化することも可能です。

保管庫管理

冷凍庫、プレート、ラック等への入出庫がより詳細に管理できるようになります。保管庫の空き状況や予約/確保も可能です。

検体管理

検体分類、種類ごとに、受付から廃棄までの情報を管理。また検体の属性情報や小分け後の親子紐付け情報もきめ細かく管理。これにより、検体の検索もスムーズに行えます。

QC管理

QC検体(コントロール、ブランク等)とともに、検体のQCデータを管理。分析結果の精度を高めます。

機器管理

機器の校正やメンテナンススケジュールを設定して、校正やメンテナンスのされていない機器へのアクセスを禁止しメンテナンスログを管理することができます。

試薬管理

試薬タイプ、試薬ロットの管理が可能になり、そのほか規格管理および実験室内の消耗品ライフサイクルをまで管理することができ、ラボ内の無駄を排除出来ます。

その他の機能

ユーザーアクセス制御機能 ユーザーアクセス制御の方法としてロール、部署、ジョブタイプの3種類のアクセス制御を有しており、きめ細かく制御することができます。
WEBデザイナー機能 画面作成用のユーザーインターフェース機能です。これによりお客様ご自身で画面作成・修正が可能になります。
DBメンテナンス機能 データベースメンテナンス用のユーザーインターフェース機能を有しています。この機能を使用することによりユーザーは独自のデータベーステーブルをLabVantageに追加したり既存のデータベーステーブルに項目を追加することが可能です。
文章アタッチメント機能 データに対してあらゆる文章(URLも含む)を紐付けるための文章アタッチメント機能を有しています。これによりローカルマシンの文章をサーバーマシン内の任意のディレクトリもしくはデータベース内に保存することができ、さらにアタッチメント後はブラウザーを介して文書閲覧、文書編集、文書ダウンロードが可能です。
電子承認機能 電子承認のために、任意の承認ステップを定義することが可能で、その承認タイプを利用し測定データごとの電子承認やデータベース内のレコード単位での電子承認を実現することができます。
ダッシュボード機能 データベース内の様々なデータをチャットなどで可視化することが可能です。また進捗状況をひと目で確認することが可能になります。
検索機能 画面上に検索バーとして常時表示され、ほぼすべての画面から検索することが可能です。また検索方法として、クエリー検索、ツリー検索、高度なアドホック検索機能を有しています。
レポーティング機能 帳票のレイアウト、出力データ等は、お客様のご要望に応じて作成することができます。

操作性に優れ、データの管理作業もサポート
セキュリティー機能も備えているので、安心してご使用いただけます

操作性
  • Web対応アプリケーションであるため、ユーザー様はPC、タブレット端末で操作するのみ。Webブラウザーさえあれば動作します。各種Webブラウザーに対応しております。
  • 担当業務フローのみの表示や役職に応じた閲覧権限などを自由に設定。ユーザー単位での表示画面設定が可能です。
管理
  • マスターデータ以外のデータは、バーコードやプルダウン選択形式による入力が可能。データ入力のスピード化に寄与し間違いを未然に防ぎます。
  • 検体、保管庫などのIDをバーコード情報としてラベルへ出力できるので、手入力や手書きでラベルを作成する必要なく、転記ミスなども防ぐことができます。
  • 記録データからレビュー、承認までを一元管理できます。
  • 計測機器からのファイルの取り込みを自動化し、データインテグリティを向上させます。
セキュリティー
  • システムへのログインや電子署名は、指紋認証システムと連携できます。
  • データの改編時は全て履歴化、電子署名等アクションが必要になります。ユーザーの成りすましなど、不正操作を防ぎます。
  • 監査証跡を記録できるので、「いつ、誰が、何をしたか」の履歴が残ります。
メンテナンス
  • CSV(Computerized System Validation)(※)に柔軟に対応できるようにデータメンテナンス機能およびWEB画面メンテナンス機能を備えています。日々修正が多いマスターデータなどは、管理者様がグラフィカルな画面を見ながら容易にメンテナンスすることが可能です。
  • 医薬業界におけるバリデーションは、コンピューターシステムのみを対象とするのではなく、コンピューター化されたシステムを対象とする必要があります。
法的規約・基準に準拠
  • 米国FDA 21 CFR Part11(食品医薬品局連邦法第21章11条~電子記録・電子署名に係る規約)等の厳しい公的基準に準拠したシステムです。

製薬/食品・化学系企業系ユーザー様に役立つ、
LabVantageの機能・特長

保健衛生、医薬品・化学品、食品・飲料、石油化学などの広い業種・業界の研究開発/検査/診断/分析において、情報管理に役立つソフトウェアを開発し続けてきたLabVantageは、豊富なソフトウェアモジュールを備え、多様な機能を実現することができます。

監査証跡や品質管理、スケジュール管理など、
ワークフロー設計と作業プロセスを自動化します。

監査証跡(真正性確保)

監査証跡を記録できるので、「いつ、誰が、何をしたか」履歴を可視化できます。

品質管理・品質保証のモニタリング

FDAやISOなどで品質管理システムの必須要素として要求されるCAPA(Corrective Actions & Preventive Actions)。品質管理/品質保証の各工程をモニタリングし、 不具合の再発防止・未然防止に関する標準的な手法 を確立/管理することが可能となります。
LabVantageはCAPAの機能を有する唯一のLIMSパッケージソフトウェアです。

各種書類作成
  • 試験指示書や成績書類、帳票等、業務上必要な書類は取り込み、出力が可能です。
  • お使いの帳票類、或いは指示書のフォーマットを変更することなく、LabVantageに移行することができ、現在有する資産を再活用することができます。
スケジュール管理

実験スケジュール、消耗品(試薬など)のロットや期限の管理、分析機器の校正、報告書作成などが、同一システム上で実施可能です。アラートを検出し、メールで通知します。

電子実験ノート作成

データ入力からレビュー、承認まで一つのシステムで管理でき、分析時のデータの全てを紐付けることが可能です。

試験結果の統計分析

実施した試験結果の統計を、グラフやチャートなどに変換できます。

その他の機能

ユーザーアクセス制御機能 ユーザーアクセス制御の方法としてロール、部署、ジョブタイプの3種類のアクセス制御を有しており、きめ細かく制御することができます。
ユーザー/ロール権限による堅牢なセキュリティーを実現 ユーザー毎にきめ細かな閲覧制限、入力制限を設定することが可能です。
監査証跡、電子署名に対応 データ登録・削除・編集は、ユーザーのなりすましができないように電子署名の入力機能を、また、監査証跡(何時、誰が、何をしたか)を記録する機能を備えています。
画面の製作 メニュー、ボタン、レイアウト等の画面構成は、お客様ご自身で変更することができ、直感的でユーザーフレンドリーなインターフェースを実現します。
幅広いレポーティング機能 帳票のレイアウト、出力データ等は、お客様のご要望に応じて作成することができます。
機器管理 測定機器の情報(校正管理等)を管理します。
試薬管理 試薬単品、配合試薬の管理を標準化し、消耗品ならびにラボで精製された消耗品の在庫管理、および発注管理を行うことができます。
安定性試験 出荷後の製品が化学的および構造的に不安定にならないことを保証するため、継続的に決められたプログラムに従った安定性モニタリングをLabVantage上で行うことができます。
サンプルモニタリング機能 「環境試験」において、製造施設、試験施設など予め定義された場所の環境条件をサンプリングし、その情報をLIMS上で一元的に管理することができます。
解析データの管理 QCサンプルの測定データを管理できます。また、管理されている測定データを元に分析バリデーションに必要な統計計算を行うことができます。
外部出力機能 LabVantageに登録/保管されたデータをCSV形式等に変換し出力することができます。異なるシステム間においてデータ連携ができます。
マスター管理 簡易化されたユーザーフレンドリーなGUI画面にてマスターデータの管理/登録することが可能です。また、LabVantageが持つデータインポート機能により、現在お使いのマスターデータを取り込むことができ構築期間を短縮することができます。

操作性に優れ、データの管理作業もサポートセキュリティー機能も備えているので、安心してご使用いただけます

操作性
  • Web対応アプリケーションであるため、ユーザー様はPC、タブレット端末で操作するのみ。Webブラウザーさえあれば動作します。各種Webブラウザーに対応しております。
  • 担当業務フローのみの表示や役職に応じた閲覧権限などを自由に設定。ユーザー単位での表示画面設定が可能です。
管理
  • マスターデータ以外のデータは、バーコードやプルダウン選択形式による入力が可能。データ入力のスピード化に寄与し間違いを未然に防ぎます。
  • 検体、保管庫などのIDをバーコード情報としてラベルへ出力できるので、手入力や手書きでラベルを作成する必要なく、転記ミスなども防ぐことができます。
  • 記録データからレビュー、承認までを一元管理できます。
  • 計測機器からのファイルの取り込みを自動化し、データインテグリティを向上させます。
セキュリティー
  • システムへのログインや電子署名は、指紋認証システムと連携できます。
  • データの改編時は全て履歴化、電子署名等アクションが必要になります。ユーザーの成りすましなど、不正操作を防ぎます。
  • 監査証跡を記録できるので、「いつ、誰が、何をしたか」の履歴が残ります。
メンテナンス
  • CSV(Computerized System Validation)(※)に柔軟に対応できるようにデータメンテナンス機能およびWEB画面メンテナンス機能を備えています。日々修正が多いマスターデータなどは、管理者様がグラフィカルな画面を見ながら容易にメンテナンスすることが可能です。
  • 医薬業界におけるバリデーションは、コンピューターシステムのみを対象とするのではなく、コンピューター化されたシステムを対象とする必要があります。

各種公的規制に準拠しているので、安心してお使いいただけます。

米国FDA (21 CFR Part11)

米国食品医薬品局(The Food and Drug Administration)医療品、食品等の安全管理機関21CFR Part 11は記録の電子化における取り決めを定めた連邦法

EMA

欧州医薬品庁(European Medicines Agency) 医薬品の欧州における監督業務を司る専門機関

MHRA

医薬品・医療製品規制庁(Medicines & Healthcare products Regulatory Agency) 英国の医薬品の安全性の政府機関

QSR(Quality System Regulation)

米国FDAの医療機器GMP

CLIA/CAP

CLIA法(臨床検査室改善法:Clinical Laboratory Improvement Amendments)

CAP(米国病理学会:College of American Pathologists)が定める臨床検査認定プログラム

各種GxPに準拠
  • 主要例:
  • GMP(Good Manufacturing Practice,医薬品の製造管理及び品質管理基準)
  • GLP(Good Laboratory Practice,非臨床試験の安全性確保のための基準)
  • GCP(Good Clinical Practice, 臨床試験の実施における基準)
  • GVP(Good Vigilance Practice,医薬品の製造販売後安全管理基準)

導入・サポート

導入から運用まで、充実のサポート豊富な経験と実績をもとに、導入をサポートします

お客様の業務やニーズに合わせてぴったりのシステムを提供します。

当社はライフサイエンスの分野で、研究施設や幅広い業種・業界の生産現場に、25年以上にわたり情報管理に役立つソフトウェアを提供してきました。要件定義、設計、プログラミング、試験・検査まですべてを自社で行い、お客様のニーズに合わせてシステムを構築、提供いたします。

仕様策定から機能実装、導入後の運用までサポートします

当社はLabVantageを用い、仕様策定からシステム設計、構築、運用に至るまで、万全のサポート体制を構築。定期点検、バックアップなどの予防保守、操作画面のレイアウト変更、項目や機能の追加、トラブルが起こった時の対応など、万全のサポート体制を整えています。

導入ステップ

要求仕様書
1.要求仕様書
システムに要求される機能やサービスを記載し、導入するコンピューターシステムが
達成すべき課題を定義する文書を作成します。
機能仕様書
2.機能仕様書
要求仕様書に記載された要件に対応した具体的なコンピューターシステムの機能と性能を
記載した機能仕様に関する文書を作成します。
設計仕様書
3.設計仕様書
機能仕様書に基づいてコンピューターシステムの詳細機能を記載した
設計仕様に関する文書を作成します。
コンフィギレーション
4.コンフィギレーション
設計仕様書に基づいてパッケージのコンフィギュレーション(パラメータ設定)や
カスタマイズを実施します。
システムテスト
5.システムテスト
機能仕様書、設計仕様書で定義された機能及び性能を確認するテストを行います。

工場出荷試験
6.工場出荷試験
供給者の工場出荷前に機能及び性能を確認するテストを行います。
(FAT:Factory Acceptance Test)
現地受入試験
7.現地受入試験
システム設置場所等における受け入れ時に機能及び性能を確認するテストを行います。
(SAT:Site Acceptance Test)
納入
8.納入
構築したコンピューターシステムの納入。標準操作手順書の作成支援や
運転時適格性試験(OQ:Operation Qualification)の支援を行います。

事例紹介

LabVantageを導入されたお客様の声

LabVantageは日本全国の研究機関や病院などに既に導入されたお客様のニーズに沿った様々なソリューションを提供しております。既に製品を導入されたお客様が、どのような理由でLabVantageを必要とし、導入した結果どのような効果があったのか。実際の声を紹介します。

導入事例インタビュー

東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
客員教授

峯岸直子先生

正確な情報管理と作業の効率化を可能にするLIMS
膨大な情報を一元管理することで、さらなる医療の発展を目指す

実験・分析が行われる研究施設では、日々膨大な情報が生み出されています。それらの情報を未来に役立てるためには、正確な情報管理体制の構築が必要不可欠。そんな中で、研究室や工場全体の情報およびワークフローを一元管理し、スムーズな業務と高い品質管理を可能にしたのが、ラボラトリー情報管理システム (Laboratory Information Management System:以下「LIMS」と称す)です。
LIMSの導入により、正確な情報管理と作業の効率化に成功した事例として、東北大学 東北メディカル・メガバンク機構/バイオバンク生命科学分野の教授である峯岸直子先生にお話を伺いました。

15万人分の生体試料情報を管理

—峯岸先生の仕事内容を教えてください。

峯岸先生 近年、地球規模で大きな災害が起こっています。日本ではこれからも大地震に見舞われる可能性が高いと言われていますが、災害が人々の健康に与える影響はこれまで研究がなされてきませんでした。災害が人々の健康に与える影響を調べることで、今後の災害による健康被害を最小限に抑えられるよう対策を立てていくことを第一の目標に、東日本大震災後に復興事業として発足したのが東北大学と岩手医科大学による東北メディカル・メガバンク計画です。
この計画では、生体試料(血液や尿など)や居住環境などの健康情報に、ゲノム情報を組み合わせた未来型医療の構築を目指しています。私が所属するバイオバンク部門では、匿名で収集したこれらの情報を管理、運用しており、これらの試料や情報は、疾患の原因や新薬開発などの研究に役立てられています。

—どのような質、量の情報を管理しているのですか。

峯岸先生 宮城県と岩手県にお住いの約15万人の方に対してコホート調査を行ってきました。コホート調査とは、人々の生活習慣を継続的に収集することで、体質、生活習慣と環境がどのように病気に関わっているのかを調べる調査手法のこと。これまで行ってきたのは、成人を対象とした地域による比較を行った地域住民コホート調査、そして妊婦と生まれてくる子どもを中心とした決年付きの三世代コホート調査です。これらの調査で得た生体試料と健康情報をもとに、例えば震災被害が大きかった地域と比較的軽かった地域、世代など様々な角度から分析を行います。そこから得た研究成果を住民の皆さんに還元して被災地域の健康状態の向上に貢献し、また、個人の遺伝的背景に基づいた次の世代の未来型医療の構築に貢献することが私たちの使命です。この目標を達成するためには、集めた情報を正しく管理し、正確なデータをもとにして研究を進める必要があります。
たとえば、1人の方からの血液や尿を15本程度の保存チューブに保存しており、調査人数15万人分で現在280万本以上のチューブが保管されています。それらの1本1本について、いつ採血されて、どのように処理され、どこに保存されているか、同じ人から採取されたものはどれかなどの情報だけでも膨大なものになります。膨大な情報の中から必要な関連情報だけをすぐに取り出し、スムーズに研究に役立てられる管理システムの導入が必要だったのです。

データの自動登録、厳格な管理、アクセス制限でヒューマンエラーを防止
効率的で正確性の高い管理を実現

—どのようにしてLIMSを知りましたか。

峯岸先生 バイオバンクを作るにあたり真っ先に行ったことがLIMSの導入の検討でした。それまでは全く知識がなかったのですが、東北メディカル・メガバンク事業が国のプロジェクトだったこともあり、幸い立ち上げ前にドイツやUKなど他国のバイオバンクの事例を見ることができました。その規定を見ると、LIMS使用を前提とした調査の検討がなされていたのです。大規模なゲノム解析をしている方からもLIMSの導入は必須だということを聞いていましたし、今後のレポート作成などの作業効率を考えるとどうしてもきちんと管理できるシステムが必要だと感じたため、バイオバンクでの導入実績が豊富なLIMSに決めました。

—LIMSを導入するメリットを教えてください。

峯岸先生 大きく言えば、正しい情報管理によってヒューマンエラーを防止できるという点が最も大きなメリットだと感じています。血液などを処理する作業はとめることはできませんので、LIMSは2つのサーバーで相互にバックアップしながら運用しています。さらに、ミスや混乱を避けるためにはしっかりとした管理を行う必要があります。それを可能にしているのが、「操作履歴の自動登録」「正確な検体管理」、そして「アクセス制限機能」の3点です。
まずは操作履歴ですが、日付や登録者などの情報が自動で記録されるという点。紙やエクセルなど手動で情報管理をしていると日付を書き忘れる可能性もあり、そうすると後からその情報が必要になった場合に取り出すことが困難です。
ですがLIMSでは全自動で登録される情報なので、万が一どこかで不備が見つかっても、日付や登録者を辿って不備の周辺情報を瞬時に取り出し、修正に繋げることができます。

次に検体と、それに紐付く情報の管理が正確という点。採血を例に挙げると、一般的な医療機関では受検者の名前などを確認していくことで、伝票や血液チューブが他人の検体と混ざらないように管理します。しかし匿名で検体を集めるバイオバンクでは、伝票や血液チューブには10桁のID番号しか記載されていないため、これらを瞬時に読んで分類していくことは大変難しい作業になります。伝票と血液チューブの取り違えが起これば正しい解析結果は出ませんし、研究の意味がありません。しかしLIMSではバーコードをスキャンして登録することができますので、たとえば、試料を移し替える作業の前後に、チューブに貼られたラベルのIDは正しいことを確認してから作業を行うことで検体の取り違えを防ぐことができ、ダブルチェックの手間も省けるので作業の効率化や人件費削減に繋げることができています。

またアクセス制限をかけることができる点も大きいです。
実際に現場からは、ヒューマンエラーを防ぐことができれば、何かあったときに責任が自分にかかってくるという重圧から解放されるので安心して仕事ができるという声が上がっています。

余裕を持って、実績ある、業務に合ったLIMSシステムを構築することが重要

—導入に必要なことは何ですか。

峯岸先生 一番大切なことは、余裕を持った導入スケジュールを立てるということです。私たちの場合は稼働まで日にちがなかったため、LIMSのシステムを構築してもらいながら実際に使用するという状況でしたが、本来は余裕を持ち、データの移行期間を設けたり試験運転などを行った方がいいのではないかと思います。
また、事前の情報収集をしっかり行うという面でも余裕は大事です。同様の研究や会社で実績のあるLIMSであれば、その業界用にカスタマイズされたパッケージを導入することもできるからです。そうすれば新たにシステムを構築してもらう部分も少なくて済むので、費用とバグの心配も軽減すると思います。業界で実績のあるLIMSは研究論文で紹介されていることもありますし、学会で出会った方に直接何を使っているのかを聞いてみるのも一つの手です。


—運用する上でのポイントは何ですか。

峯岸先生 実験機器や分析ツールなどの外部システムと繋ぐことでデータの入力ができるので、LIMSがあれば多くのことが自動でできます。しかし、中には自動でできないものや、手動でやった方がいいフローも存在します。そのような場合も部分的にLIMSを使い、いかにエラーなく効率の良い運用ができるフローを作り出すか。これが腕の見せ所だと思います。ここは一律にはいかない部分だと思うので、LIMSのサポートに相談しつつシステムの構築をお願いしていくと良いですね。

今後はLIMSによる他部署との連携で
より正確な解析を行い、医療の発展に寄与したい

—今後の展望を教えてください。

峯岸先生 現段階では生体試料の管理と、特定の解析フローだけにLIMSを活用しているので、バイオバンク部門のLIMSは機構の中でも独立したシステムで管理を行っています。しかし今後バイオバンクの活動が活発になり、外部との繋がりが多くなれば、今よりさらにLIMSの活用範囲は広がると思いますし、東北メディカル・メガバンク機構全体の情報システムと連携した運用の可能性も出てきます。外部の方がアクセスする際にも、コホートやゲノムの情報と一緒に生体試料を検索できるシステムも構築中です。LIMSを使った正確な情報管理により最終的には研究者や医療従事者が、私たちが持つデータを自由に利用できるようにすることを通して、大規模で正確な解析を実現し、被災地域の健康の維持と未来型医療の実現に寄与できればと思います。


東北大学 東北メディカル・メガバンク機構。
峯岸先生はここで日々、未来型医療の構築に取り組まれています。

ホワイトペーパー

LIMSに関連するお役立ち資料をダウンロードできます。

資料を選択してアンケートにお答えいただきますとダウンロードができます。


ホワイトペーパー001:
LIMSとデジタルエコシステム
デジタルトランスフォーメーション(DX)現実へのナビゲート
デジタルトランスフォーメーション(DX)は単なるシステム導入で完了するものではありません。
それを牽引する企業体制やその戦略が肝となります。
今回はモデルナ社の事例をケーススタディとして紹介いたします。
2022.4.1

ホワイトペーパー001(1.47MB)

ホワイトペーパー002:
LabVantage Oil & Gas
石油・ガス試験ラボの体制について
LabVantageは様々な業種・業界でご利用頂いておりますが、活用方法は業種・業界ごとに異なります。
今回は石油ガス業界のユーザー様向けのLabVantageである、LabVantage Oil&Gasの有用性を紹介いたします。
2022.4.1

ホワイトペーパー002(961KB)

ホワイトペーパー003:
高度なデジタルデータ管理
製薬業界におけるデータインテグリティ
データインテグリティにおけるALCOA+原則の定義、その遵守において求められるデータ管理の重要性をLabVantageの機能とあわせて紹介いたします。
2022.4.1

ホワイトペーパー003(753KB)

ホワイトペーパー004:
LabVantage 技術概要
推奨動作環境
LabVantageをご利用頂く際に必要なインフラストラクチャ要件やネットワーク構成等を紹介いたします。
2022.4.1

ホワイトペーパー004(1.03MB)

Q&A

お客さまからよく寄せられるお問い合せ内容を「Q&A」形式でご覧頂けます。

  • 医薬品関連をはじめとした多くの企業様の研究所や工場、病院や大学など、幅広い業態でご使用頂いております。

  • LabVantageは必要なモジュールを組み合わせることで自由に機能追加を行うことができます。安定性解析は勿論のこと試薬管理やバイオバンク、CAPAなどの管理もLabVantage上で行うことができるため、複数のシステムを立ち上げることがなく管理が容易になります。しかも、各モジュールはバリデーション対応済みのパッケージソフトです。

  • 試薬管理モジュールを導入頂くことで在庫管理はもちろん、ロットナンバーや残量管理、保管場所や使用期限の管理も可能です。調整試薬にも対応しており、関連データとの紐付けも可能です。

  • 現在お使いになられている、若しくは導入予定の生産管理システムや製造管理システムとのデータ連携が可能です。現在、お使いの生産管理システムや製造管理システムのデータを所定の様式(CSVファイル等)で出力していただければLabVantageにインポートし、工場内の情報をシームレスに一元的に管理することができます。

  • はい、可能です。当社で現行の書式をLabVantageに反映(移行)するご支援をし、ストレスなく運用いただけるようサポート致します。

  • はい、既存の計算式を流用できます。

  • ネットワークに接続されている分析機器の計測データは自動でLabVantageに取り込まれます。※対応機器についてはご相談ください。

  • 機器校正機能を標準で備えています。

  • LabVantageはCAPAモジュールを備えています。工程管理と共にインシデント管理ができるので専用のシステムは必要はありません。このため、管理が容易になるとともにコスト圧縮も可能です。

  • 当社のエンジニアがサポートいたします。詳細はご相談ください。

  • LIMSサーバー、LIMS端末を中心に既存システムや様々な機器と接続しシステムを構成します。詳しくは、こちらをご覧ください。

  • 可能です。LabVantageが起動する環境さえあれば既存のリソースを活用しLIMSシステムを構築することが可能です。推奨OS、データベース、ブラウザーや接続実績のある機器につきましては、こちらをご覧ください。

  • 専任エンジニアチームを有しております。障害発生時には電話(当社業務時間帯のみ)若しくはメール等で受付を行い、必要であれば現地にお伺いし障害復旧に努めます。

  • 導入いただいたハードウェアやソフトウェアの障害対応、軽微な機能修正、クラウドシステムの運用支援などが代表的なサポート内容です。分析器とLIMSの接続もご相談に応じて対応いたします。詳しくは、お問い合わせください。

  • はい、日本語に対応しております。

  • ご支援いたします。別のLIMSから乗り換える場合、マスターデータの移行が重要ですがLabVantageならデータのインポート機能を使って容易にマスターデータを取り込むことができるため、新たにマスターデータを入力する手間を省けます。

  • はい、可能です。ソリューションベンダーならではの、用途に応じたシステム提案が可能です。システム構築・運用を支援するトレーニング・コースもご用意できます。

  • 当社エンジニアがマスターデータの入力および策定をご支援させていただきます。既存のマスター情報をLabVantageに取り込むことも可能です。マスターデータの変更履歴はLabVantageのデータベースに蓄積されているため、構成管理が容易に行えます。

  • はい、対応しています。

  • これまで培ったSI技術を活かし、ご予算、規模等ご相談させていただきながらご提案が可能です。

  • 標準機能で柔軟に対応が可能です。完全ペーパーレスのみならず、お客様の方で必要な場合は紙での出力を行うなど、お客様の要望に合わせた形で対応することができます。

  • LabVantage独自のロール(役割/権限)機能によりデータの秘匿性を担保します。ロール機能はお客様のご要望に応じて細かく設定することが可能です。

  • LDAP認証との連携実績があります。その他の認証基盤との接続に関してはご相談のうえ対応致します。

LabVantageについてのお問い合わせ

お気軽にお問い合わせ・ご相談ください

電子システム事業統括部
つくば事業所 営業部

029-859-0313

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受付時間:9時~17時(土日祝祭日および当社休業日を除く)

LabVantageについてのお問い合わせ

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